人材育成コラム

“人財”育成のツボ

2020/4/21 (連載 第131回)

できること、やるべきことをする そして明るい明日のために準備する

ITスキル研究フォーラム 人財育成コンサルタント / PSマネジメントコンサルティング 代表

安藤 良治

 いかにも日本らしい「緊急事態宣言」です。
 国民一人ひとりの自覚でその成否が決まる、何とも難易度の高い方針の下、私たちは未知のウイルスと闘わなければなりません。

 連日報道で見る限り、オフィス街では人の流れは幾分減っているようです。しかし、工業団地はどうでしょう?
 「生産は止めない」との方針の下、工業団地に向かう駅前のバス停ではいつもと同じく長蛇の列、満員のバスに乗車して、各自の持ち場で仕事をしています。一斉に取るしかない昼食の時間は、これまでと変わらず社員食堂に長い列ができ多くの従業員が食事を取っています。ここでは、コロナ対策といえば手洗い場に消毒液を置き、食堂には「会話禁止」のステッカーを貼る程度しかできません。
 経営層は「感染者が出ないでくれ!」と祈るような気持ちで毎日を過ごしているのでしょう。もし出たら……、大規模なクラスターとなる可能性は大きいといわざるを得ません。

 住宅地の周辺では、ある本屋に異変が起きていました。普段の何倍もの電話が鳴り、「お宅は営業していますか?」の問い合わせが相継いでいます。駅前のショッピングセンターにある大型書店が休業したため、駅から少し離れた中規模のその書店に問い合わせが増え、多くの人が押し寄せています。売り上げは上っているようですが、そこに働く従業員は突然の来客の急増に戸惑い、レジ待ちする顧客のモラルの低さに憤慨し、そして疲弊しています。こんな時期に立ち読みで長時間本屋に滞在する人もいます。自宅で過ごすことが多くなった人たちには、書店が営業していることはありがたいことです。しかし、書店を訪れる時にもモラルある行動が求められるのはいうまでもありません。

 オフィスの仕事は、「基本的には在宅勤務で」との方針が出ていますが、そんなことは本当に可能でしょうか? でも踏み切るしかないのが現状でしょう。
 フェイスブックへの書き込みを見ると、ある友人は、
 「先週からテレワークして2週間!必要なテレカンだけなので、作業効率は上がる! ただし、だべり、特にノミニケーションがないので、創造的活動がなくなっているかもしれない! 自分で考えをまとめる時間は増えたが、人からのフィードバックがないので!」
 とのメッセージを投稿しています。それぞれが工夫を凝らしてWEB会議等を活用して、成果を出せるよう頑張っています。今は、「性善説」をベースに頑張るのが筋でしょう。ただ、マネジメントする立場の人は、この緊急事態の仕事の取り組み状況について必要なデータを収集し、次につながるビジネスのデザイン、就業スタイルを企画していくことが大事です。
 「必要なデータは何か?」
 これは、業種や業態によって異なることでしょう。ここで収集したデータから、思いもよらなかったBullshit Jobs(どうでもいい仕事)が見つかるかもしれません。未来のビジネススタイルをデザインするよい機会と捉えて取り組みたい課題です。

※本コラム2019/10/21(連載 第125回)「Bullshit Jobs(どうでもいい仕事)とならないために」を参照ください(こちら »


 このコラムを作成している本日は4月12日。昨日の日本の新たな感染者は過去最大の743人と増加の一途、いつピークとなるのか全く予測できない深刻な事態です。このコラムが配信される日までに、「緊急事態宣言」の効果が少しでも現れ、減少傾向に向かってくれることを願うものの予断を許さない状況でしょう。
 この状況で私たちが「できること、やるべきこと」は次の2点です。

1.他人事でない、自分事として感染予防をする

 医療従事者、宅配業者、そして事業活動を続けている人たちが多くいる日本の現状での感染予防は、大変難易度が高い状況といえます。それでも一人ひとりが感染予防をして、あるいは自分が感染者かもしれないとの想定の下、他人に感染させない行動が求められます。この闘いに勝たなければ、アメリカ、イタリアのような感染爆発が日本でも起こります。
 具体的な行動として私の友人がフェイスブックにうまくまとめ投稿していましたのでコラムのWEB版に【追伸】として紹介しておきます。ご覧いただき、参考にしていただければと思います。

2.事業再開の準備を抜かりなくする

 コロナとの長い闘いのトンネルを抜けると、そこには昨日までとは異なる新たなビジネススタイルが国際的な常識となっていた。そんなことが起こるのではないでしょうか?
 「日本は大丈夫か? ついていけるか?」
 先月号のコラムでこのことを記載しました。皆で考えたい、準備したい事柄です。

※2020/3/23 (連載 第130回)「事業再開の準備は万端か?」(こちら »


 この非常事態がいつまで続くのか? 台湾では、世界の中でいち早くプロ野球を開幕できるまでに事態は収束に向かっているようです。日本も事態の収束を目指して、一人ひとりが「できること・やるべきことをする、そして明るい明日のために準備する」行動で結束しようではありませんか。

【追伸】
 私の友人が4月2日にフェイスブックに投稿した文を紹介します。よくまとまっています。共有させていただきます。
【もう他人事じゃない】
 本当に危ない状況になりました。感染爆発と医療崩壊が起きてからでは遅い。非常事態宣言が出てからでも遅い。誰もが自分でできることを今すぐに。

ポイントは三点。
○感染拡大に加担しない。
○ウイルスに伝播する機会を与えない。
○医療体制を崩壊させない。

 悪いのはウイルスでも中国でも政府でもない。ウイルスを甘く見て行動を変えない我々自身です。具体的に取り組むことは発症時一点と平時三点の四点。

  1. 発熱、風邪の症状、体調不良のときは自宅療養に徹する。
  2. 周囲に人のいる状況、人と対面・交差する状況を極力減らす。
  3. 人が多数いる場所にいるときや対面交差・同席するときには、ウイルス伝播ルートを遮断する。
  4. 免疫力を高めるために規則正しい生活をこころがける。
 詳しくは以下をご覧ください。

 自分自身がやろうと思うことを中心にまとめたもので、あくまでも例示です。それぞれに仕事や家庭などの状況は異なりますが、自分が既に感染していると想定してください。そして、「感染拡大に加担しないためにどうすればよいか」を考え行動するための一助としてください。

〔自覚症状があるとき〕
1.発熱、風邪の症状、体調不良のときは自宅療養に徹する。
  • 絶対に外出・出勤しない。
  • 栄養を十分に摂って静養する。
  • 薬は常備薬、市販薬で済ませる。
  • 一人住まいの場合は、買物は家族や友人に依頼する。
  • 食事に困る場合は宅配を活用し、玄関外に置いてもらって直接の受渡しは避ける。
  • 高熱が続く、持病がある、濃厚接触した可能性があるなどにより感染が疑われるときは、すぐに医者に行かず、まずは電話でかかりつけ医か相談センターに連絡して指示に従う。
  • 体調がよくなってもすぐに通常生活に戻らず、自宅静養を続ける。
  • 社会復帰は発症(症状を自覚)してから2週間以降とする。

〔日常こころがけること〕
2.周囲に人のいる状況、人と対面・交差する状況を極力減らす。
(1) 外出を可能な限り控える。
  • 緊急事態宣言が発令された場合は、医療、エネルギー、交通、物流など最低限の社会機能維持のため出勤が必要な場合を除き、在宅勤務または業務停止することになりうる。今もそれに準じて可能な限り出勤、外出しない。
  • 買物は日常の生活必需品購入に限定する。数日か多くても1週間程度必要な分だけ購入し、買い溜めは控える。
  • 散歩やランニングなどの運動は単独で歩行圏内の戸外に限定する。ジム、ステーション、銭湯などの利用は控える。
  • 外出時は保育・介護などの理由で必要ある場合を除き、単独で行動する。
  • 人と会いたいときも我慢して、極力ネットや通話で直接会わずに済ませる。(善意で助けてあげたいと思っても、もしも会って感染させたら相手の命に関わる。)
  • 外出後は必ず手を洗浄(アルコール消毒または石鹸で手洗い)する。
  • ゴミ出しは必ずビニール袋で密閉する。鼻を拭いたティッシュなどは更に小袋で密閉する。
(2) 家族以外に対面する人、対面する機会を可能な限り減らす。
  • 同居する家族以外との会合(打合せ、食事等)は極力避ける。
  • どうしても会合する必要があるときは少人数(数名程度)に限定する。
  • 素性、氏名・連絡先がわからない人との面会、会合は避ける。
  • 万が一の感染時に感染ルートを辿れるよう、過去2週間に行った場所と会った人を記録(記憶)しておく。

3.人が多数いる場所にいるときや対面・交差・同席するときのウイルス伝播ルートを遮断する。(飛沫飛散を防ぎ、接触を避ける。交通機関、公道、勤務場所、店舗など場所は問わない。)
  • マスクを着用して飛沫飛散を防ぐ。
  • マスクがないときはハンカチ、バンダナ、ハンドタオルなどで代用する。
  • 咳エチケットを徹底する。(咳、くしゃみをするときは上腕で鼻と口を覆う)
  • 咳・くしゃみするときにマスクを手で覆わない。
  • 口を閉じ、鼻呼吸をこころがける。
  • 口、鼻、目に手を触れないようにする。触れるときは手を洗浄してからにする。
  • 不特定多数の人が触るドアノブなどは手指で直接触れることは避け、肘や袖などで操作するようこころがける。手指で触ったときは「汚染された(う◯こが付いた)」と思って洗浄するまでは他のものに触れない。
  • 可能な限りほかの人とは2メートル以上の距離を保つ。
  • ほかの人が2メートル以内にいるときは会話を控える。
  • マスクを着用せずに会話することは控える。
  • 話すときは穏やかに話すようこころがけ、大声は出さないようにする。
  • 街中や店などの中で大声を出したり、叫んだりしない。
  • 特に若い人、お酒を飲む人は、仲間うちでお喋りに夢中にならない。
  • (それができないなら集まらない、酒は飲まない。)
  • 閉鎖空間の滞在は可能な限り避ける。窓がある場合は常時開けて換気する。
  • 街中をランニングなど運動するときで、人と対面交差、追い越しをする場合は口でぜいぜい息を吐かず、息を止めるか鼻呼吸(吸気)にする。追い込んだ練習は人のいない場所で行なう。

4.免疫力を高めるために規則正しい生活をこころがける。
  • 三食きちんとよく噛んで食べる。
  • 一日や一週間の単位でバランスよく沢山の種類の食物を摂る。
  • 睡眠を十分に取り、早寝早起きをこころがける。(夜は12時までに床に就く)
  • 適度な運動を継続する。(一日30分以上の散歩が目安)
  • 水分を定期的に十分に摂る。
  • 日光に一日10分以上あたる。
  • お酒はほどほどに。
  • タバコはこの際止めることを真剣に考える。
  • くよくよせずに前向きな気持ちを保つ。
  • 自分がやろうと決めたことは、どれだけ本当にできるかゲームのように楽しんで取り組む。
  • 相当に長い期間我慢を強いられることを覚悟し、その後に味わえる楽しみを思い浮かべて励みにする。

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