人材育成コラム

リレーコラム

2019/08/19 (第111回)

所属社員全員で試験にチャレンジ!

ITスキル研究フォーラム クラウド人材WG主査
株式会社NTTPCコミュニケーションズ 営業本部 営業企画部長

中山 幹公

 私の所属するNTTPCコミュニケーションズの営業本部では、昨年度から250名余りの所属社員全員にITの公的な資格取得や試験にチャレンジさせている。

 NTTPCは、様々なパートナー様を通じてITサービスを提供しており、営業といってもパートナー様に対して技術的な支援を行う必要があり、一定以上の知識を身に着けてスキルアップしてほしいということはもちろん、実際基礎的な技術知識は 身に付いている人が多いのであるが、その知識を体系的に整理して、社内の開発・運用部門やパートナー様のエンジニアなどとも共通の言語、共通の認識でスムーズにコミュニケーションができるように、といった狙いで取り組んでいる。

 昨年は「ITILファンデーション」の全員合格に向け取り組み、現時点でほぼ全員合格した。この資格をご存じの方も多いと思うが、内容としてはどちらかというとITインフラサービスの運用管理業務を中心とした知識全般のフレームワークである「ITIL」の入門編といったところであり、難度はさほど高くない。合格率は50%弱といった水準のようである。

 当然施策を推進する立場の私が合格しないと恥ずかしいので、しっかり対策講座も受講し、無事合格した。もちろん既知の内容も多かったが、私たちが日常的に行っているITインフラサービスの企画、開発、リリース、トラブルシューティング、運用管理、改善など一連の流れと周辺知識を体系化でき、日々の業務でも、「いまやっているこれはITILでいえば〇〇だな」とか、全体のどの部分であるか意識するようになったし、そうした認識を社内外で共有できることは大きな成果であると思っている。

 そして、今年はIPAの「情報セキュリティマネジメント試験」の全員合格に取り組んでいる。4/21(日)に行われた春期試験に私もトライした。この試験もご存じの方は多いと思うが、主に情報システムの利用部門の情報セキュリティリーダーの 視点で、情報セキュリティマネジメントの計画、運用、評価、改善を通じ組織全体のセキュリティマネジメントを行ううえでのスキルを認定する試験となっている。

 こちらも難度はそれほど高くないが、年々難度は上がっているらしく、徐々に合格率も下がっているようだが、それでもITILファンデーションと同じく50%程度の合格率のようだ。私自身は所属する組織のセキュリティ管理者でもあり、本来は特 段勉強をしなくても軽くパスすべきレベルではあるのだが、何分この試験にチャレンジする施策の責任者でもあり、落ちると恥ずかしいため(会社として団体申し込みをしているため、合否や得点も会社で把握する)、きちんと事前の勉強もしてかなりの高得点で無事に合格した。

 この試験もITILと同じく、これまで持っていた知識も含め、情報セキュリティマネジメントに関する知識を体系化でき、社内のセキュリティマネジメントと、日々の営業活動においても大変有意義である。そうした弊社の取り組みに対し先日IPA さんから取材依頼があり、IPAのホームページにインタビューが掲載されている。

■独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
https://www.jitec.ipa.go.jp/sg/interview/detail_nttpc.html

 インタビューの中でも答えているが、情報セキュリティマネジメント試験についてはまだ全員合格までは行っていないので、秋期試験に向けみんなにチャレンジさせるとともに、これまでの取り組みで得た基礎的かつ体系的な知識をベースとし、今後は、それぞれ自身が伸ばしたいスキルというのを自ら考え、より専門的な試験や資格取得に継続的にチャレンジしていってほしいと思っている。会社としても、そのような自主的なチャレンジをできる限り応援していきたいと考えている。

 AIエンジニアやデータサイエンティストなど突出したスキルを持った人材の確保も企業にとってもちろん重要な課題だが、まずはベーシックな知識を一通り身に着けさせ、そこからさらに目指す方向性を自ら考える機会を与えるということも、育成部門の重要な役割だとあらためて感じている。


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