人材育成コラム

リレーコラム

2019/12/20 (第115回)

営業の技術スキルをサポートするオウンドメディア

ITスキル研究フォーラム クラウド人材WG主査
株式会社NTTPCコミュニケーションズ 営業本部 営業企画部長

中山 幹公

 前回の私のコラム『2019/08/19 (第111回)「所属社員全員で試験にチャレンジ!!」』で、私の所属するNTTPCの営業部門の社員全員に基本レベルの技術資格を取得させている取り組みについて書いた。その中にもあるように、「こうした取り組みを通じ、基礎的な技術スキルを身に着け、さらなる啓発のきっかけにしてほしい」という思いもあっての取り組みである。
 こうした取り組みを行っていても、営業社員の技術スキルの水準をまんべんなく上げていくのはなかなか困難である。特に新サービスなどを拡販していくときに、顧客やパートナーに必要な説明を的確に行い、その場で様々な技術的な質問に対しスムーズに回答していくといった対応レベルを早期にかつ高水準で一定に保つのはなかなか難しいことである。

 そうした営業フロントの技術スキルを補うという面も、オウンドメディアの価値の一つであると考えている。
 NTTPCの場合、オウンドメディアとして、社員が自分で執筆している「技業LOG」という技術ブログを運営している。ここにも、各種サービスの技術的説明や、サービスやツールのチュートリアル的な内容の記事も掲載しており、社員やお客様も参照している。
https://www.nttpc.co.jp/technology/

 また、この11月にはYouTubeの公式チャンネルを開設した。
https://www.youtube.com/c/nttpccommunications
 YouTube公式チャンネルに関しては、広報を所管している私のチームメンバーの中にそういう経験のある者がいなかった。そこで、この機に自分自身で経験してみたいと思い、YouTubeのサポートページなどを参照して、公式チャンネルページの設定から、各動画のアップ、レイアウト設定なども自分でやってみたものである。
 こちらのページを見ていただけると分かるが、様々なテイスト/目的の動画が掲載されている。取り急ぎ、これまで作成して社内にあった動画のうち公開可能なものをアップしているのだが、視聴回数が多いのはAI系の試作段階の商材をフィーチャーした動画で、やはりエンターテイメント性のある動画であった。
https://www.youtube.com/watch?v=E_CCm2YOFNc&t=1s
『AnyMotion?』体験「世界骨格競技選手権開催!?」

 そのほか、社員のインタビュー動画などもあるが、企業の公式YouTubeチャンネルは、主に企業ブランディングやマーケティングを目的としたものであるとの認識が強いと思う。
 しかし、私たちが今回このページを立ち上げたもう一つの大きな目的は、営業フロントへの支援である。ITの営業の場合、例えば自社商材を取り扱っていただいている販売パートナー会社の営業担当者が、その製品に関する技術的なスキルが十分でなく、同行支援などを求められることも多いと思う。しかし、そのボリュームやカバーエリアが多いと、そうした支援もなかなか行き届かない。そこで、お客様先でそのまま見ていただけるようなYouTube動画が有効だということである。

 例えば、こちらはいまNTTPCで力を入れている「Master'sONE CloudWAN」のセットアップのためのチュートリアル的な動画である。これらの動画は、社員自身がスマートフォンで撮影し、作成したものである。そのため、動画としてはお世辞にも完成度の高いものではないが、営業シーンで使うものとしては、完成度よりも重要なのは分かりやすさ、シンプルさという側面だろう。
https://www.youtube.com/watch?v=sAcsVk7ukww&t=187s

 そのほか、最近よくCMをしているようなインサイドセールスで顧客のPCに接続して営業ができるようなSaaSサービスが出ているが、これを、営業の技術支援に使う例も出てきている。つまり営業担当が客先やパートナーに製品などの説明をする際、自身で答えられないような技術領域に入ってくると、PC越しに遠隔でヘルプを求めるというわけだ。

 営業人材も徐々に人手不足となってきている昨今、このようにして、ITの営業としては、ベーシックな技術知識を身に着けつつ、動画などのオウンドメディアのコンテンツや、支援ツールをうまく使ってなるべく効率的に、つまり訪問件数を減らしつつ一方で受注確度は上げていくような取り組みがますます重要になってきている。



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