人材育成コラム

リレーコラム

2021/4/20 (第133回)

2021年度新入社員のタイプは

ITスキル研究フォーラム 理事
株式会社アイテック 顧問

福嶋 義弘

 4月に入り、今年も新入社員教育の季節がやってきた。昨年のこの時期は、新型コロナウイルスの影響で緊急事態宣言が発令され、各社は新入社員研修変更やオンライン教育へのシフトで混乱した。

 今年は集合研修とオンライン研修を組み合わせたハイブリットが主流のようだ。研修を支援している会社のケースでは、昨年の課題であった帰属意識の醸成については集合教育で社会人の心構え、ヒューマン教育や躾教育を実施することで対応する。一番の懸念である感染拡大が継続した場合は、ハイブリットからオンライン研修にシフトするなどのコロナリスク回避がはかられることになっている。集合教育では教室の密を避けるため収容人数を減らす、講義や演習の感染防止策実施などコロナ対策を強化している。教室の収容人数を減らすことにより、クラス数が増加するため講師の確保、感染防止対策の準備、実施など研修部門の担当者の苦労は計り知れない。

 さて、この時期楽しみにしているのが「新入社員のタイプ」である。長年、公益財団法人 日本生産性本部が、その前年の世相を反映し、新入社員の特徴やデータの経年変化を加味し流行したキーワードを選び新入社員のタイプとして2017年まで発表してきた。2018年以降、株式会社 産労総合研究所が新入社員のタイプ命名を引き継ぎ、毎年3月に公開している。今年は3月26日(金)「2021年度(令和3年度)新入社員のタイプ」を発表した。発表を紹介すると以下の通りである。
2021年度(令和3年度)新入社員のタイプ 仲間が恋しい ソロキャンプタイプ

 今年の新入社員は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて状況が一変するなか、オンラインでつながりつつも、不安で孤独な就職活動を行うこととなった。初めてだらけのソロキャンプのように、まごつくことも多かったが、気持ちを切り替え、工夫し、たくましくなった。自由さ・気楽さという魅力に気づいた人もいる。しかし、一方で、仲間への恋しさも募っている。社会に出てからは、自分の時間も楽しみつつ、いろいろな人々と知りあい仲間づくりをしてほしい。先輩社会人も、彼ら・彼女らを働く仲間として受け入れ、積極的にフォローしてほしい。
(以上、プレスリリース原稿より)
 今年の新入社員は、昨年2月頃より、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、就職イベント、選考中止や延期となりオンラインでの選考に切り替える企業が増加、大多数の学生は影響を受けることとなった。また、大学もオンライン授業に切り替える大学、構内の出入りや課外活動を制限された。このように、前年と様相が一変し、先行き不透明な状況となり、不安にとらわれ、孤独や孤立を感じることとなった。モチベーションを維持することも難しかったと推測できる。こうした学生生活や就職活動を経て入社してきた新入社員、例年、就職活動やインターンシップで学んでいた社会のルールを身につけられていない新入社員も多そうだ。まずは、お互いにギャップがあることを踏まえたうえで、理解を深め、信頼関係を築くフォローが必要であろう。

 参考までに、新型コロナウイルス拡大の影響が直撃した昨年のタイプは「結果が出せる?! 厚底シューズタイプ」であった。駅伝やマラソンなどの記録を更新した厚底シューズである。特徴はITの進展と共に育ち、先輩たちのノウハウをうまく生かして就活を乗り切った新入社員は、最新テクノロジーを組み込み、ノウハウの蓄積によって記録を更新し世界的に期待、注目を集める厚底シューズの姿と重なる。良い結果を生み出すには、走法を変更するなど(コミュニケーション、指導や働き方の変更など)準備や調整が必要と発表された。まさかパンデミックによりコミュニケーション、指導や働き方の激変することになるとは、だれも想像できなかっただろう。



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