人材育成コラム

リレーコラム

2013/07/19 (第41回)

全国新幹線整備事業の事情

ITスキル研究フォーラム 理事
NECソフト 技術統括部 エグゼクティブエキスパート

福嶋 義弘

 6月末に宮崎県、熊本県、鹿児島県の南九州3県に出張した。昨年9月に続き2回目である。前回も感じたことだが、宮崎県と熊本県の新幹線開業効果による勢いの違いにあらためて驚いた。
 まず、交通の便で比べてみる。宮崎駅から鹿児島中央駅までは125.9km、JRの特急で2時間7分、熊本駅までは高速バスで203.7km、3時間14分である。一方、九州新幹線が通る熊本県からは、鹿児島中央駅まで170.5kmを47分、博多駅まで118.4kmを40分で移動できる。
 宮崎県と言えば、昔はハネムーンメッカの観光県。今は「太陽の卵」、鳥料理、古事記ブームにのり神話の旅などで地域活性化を図っているが、今一勢いを感じない。かたや熊本県は繁華街の新しく整備された町並みや人通りの多さ、ご存知「くまモン」の人気に乗り活力溢れ、勢いを感じた。それがすべて九州新幹線の影響とは思わないが、一因になっていると考えている。

 同様に、新幹線開業に向け盛り上がりを見せているのが道南である。北海道新幹線の開業日は、まだ正式には確定していないが、平成27年度末に新青森から新函館(仮称)間で開業予定である。この開業により首都圏、東北からの移動時間が短縮され、経済や文化などの様々な交流促進が期待されている。
 そんな中、今一番盛り上がりを見せるのは木古内である。新青森より青函トンネルをくぐり、北海道に上陸最初の駅が木古内町に位置する「木古内駅」。木古内では駅舎の本格工事が始まっている。また各種イベントが開催され、その中で全国で活躍するイメキャラがここでも登場している。木古内駅の新幹線観光駅長である「キーコ」。山本寛斎さんの会社がデザインを手掛けた、木古内町名産の「はこだて和牛」という赤牛のキャラクターである。

 一方、今回の開業でまだ未決着の件がある。北斗市に建設中の新函館駅の駅名。先に(仮称)と記したのはそのためだ。駅名を巡っては、函館市は「新函館駅」、北斗市が「北斗函館駅」とするよう求める決議が両市議会で可決し、両市の主張は平行線のまま。高橋・北海道知事は調整が大変なようである。
 駅舎は新設するのではなく、現・渡島大野駅を使う。函館本線の駅で、函館駅とは17.9km離れている。新幹線の駅で「新+都市名」の駅は、中心部へ出るには不便だと感じる方は多いと思う。
 5月の北海道への出張時、ついでに足をのばし木古内駅と新函館駅(仮称)の建設中の駅舎、青函トンネルの北海道側出口を見てきた。駅名は未決着だが、駅周辺は開業に向けた工事ラッシュで変貌を遂げている。駅名がどう決着するかが楽しみでもある。

 ミニ情報であるが夜景、朝市、五稜郭などで有名な函館。JRと函館バスとのコラボレーションでなかなか観光できない江差・上の国・松前周遊の「道南史蹟めぐり」の定期観光バスがこの時期毎日運行している。この観光バスは希望すると木古内駅で下車でき、連絡する特急列車に乗り新青森で新幹線に乗り換えると夜には東京駅に着くそうである。1泊2日で初日は函館市内観光、湯の川温泉に1泊、2日目は道南観光。夏の道南いかがでしょうか。

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