事例レポート

(※ 過去バーションのDSシリーズでの利用事例を含みます)


ITSS-DS事例


大和総研

ITSS(ITスキル標準)の導入とともに研修制度を強化、一人ひとりに対応した教育の実施を検討

※ 所属、役職等は記事掲載当時のものです(2007年掲載)

ITSS-DS事例


大和総研

ITSS(ITスキル標準)の導入とともに研修制度を強化、一人ひとりに対応した教育の実施を検討

※ 所属、役職等は記事掲載当時のものです(2007年掲載)


 大和総研が「ITSS-DS」を導入した目的は、自社のスキル傾向の客観的な把握と、人材育成計画への活用である。同社では、職種毎の体系的な研修は行われていなかった。そこでスキル診断を実施し、現状のスキルレベルを把握。現在は、一人ひとりの技術者に合った教育を行える仕組みづくりに取り組んでいる。

図.大和総研の人材育成概念

人材育成概念図
 大和総研はリサーチ、コンサルティング、システムという3つの事業を展開している、総合シンクタンクである。従業員数は約1,600人。その約2/3の約1,000人がシステムサービス事業に携わる技術者である。

 同社がその技術者を対象に「ITSS-DS」によるスキル診断を行ったのは、「自社のポジションを把握し、育成につなげたかったから」と、大和総研・品質管理本部人材開発室の栗田剛氏は説明する。先述したように同社は大和証券グループ系のシンクタンクであり、同グループのIT戦略の核となる存在。システム開発を専業にしているSI企業とは業態が異なる。一方で、証券系をはじめとする金融系システムに強みをもつシステムインテグレーション企業として、金融機関を中心に外販も積極的に行っている。

 しかし、同社の従来の教育は職種ごとの体系的な研修は行なわれていなかった。だからこそ、IT業界内において本当に通用するレベルなのか、業界内でのポジションを把握し、競争力強化への施策に生かしたいと考えたのだ。

スキル診断を実施、職種の偏りが明らかに

 2005年9月に第1回目を、そして2006年3月に2回目のスキル診断を実施した。「スキル診断の受診率はほぼ100%。自身のスキルレベルが把握できるため、技術者の関心も非常に高いようです」と栗田氏。

 スキル診断の結果については、「ほぼ思っていたとおりでした」とはいうものの、意外にコンサルタントやITアーキテクトなどの上流職種が少ないなど、職種に偏りがあることも分かったという。これについては、「どの職種にどのくらいの人員が必要か、各事業部で人員構成表を作ってもらっている。それを基に、教育や採用などを検討していきたいと思います」(栗田氏)

 また、同社は専門職と管理職を選択できる複線人事を採用している。「スキル診断の結果から、専門職に任命されている人は、どこの能力が高いのか、という分析も容易に行える。それを生かして、例えば専門職を目指している技術者に、専門職に必須の能力を強化するような教育を行うことも可能になるのでは」と、栗田氏は期待する。

スキル診断と連動した研修体制の強化

 「ITSS-DS」の導入をきっかけに、同社では研修体系の強化も図った。その一例が、入社2~5年目の若手技術者を対象とした「DIRカレッジ」の設立である。スキル診断でレベル4に満たなかった若手技術者に対して、レベル4相当の知識を習得させるための教育プログラムだ。中堅以降の技術者に対しては、スキル診断の結果を基に、各本部が研修計画を立てることになるという。

 「各事業部の代表で作られた人材育成委員会があり、そこが具体的な育成計画の作成や方針を決定します。が、1事業部には約200人の技術者がいるため、一人ひとりに対応した教育はなかなか行えません。今後は、部やチームなどまでブレークダウンして、一人ひとりに対応する教育を行う仕組みを充実させていきたいと思っています」

 また技術者にとっても、「ITSS-DS」は目指すキャリアパスを実現する有効なツールになると栗田氏は考えている。「例えばプロジェクトマネジャーを目指すためには、業務経験、知識の習得が有効になる。しかしこれまでは、どのような業務経験が不足しているのか、不足する知識は何かわからない場合があった。スキル診断によってその点が、明確になるので、技術者自らが自己のスキルの把握とキャリアプランを作成企画できるようになると思うんです」

 スキル診断の結果はあくまでもスキルレベルが明確になったというだけで、この数値が技術者としての評価とは同義ではないと栗田氏。「当社の強みは証券系などの業務知識が豊富なこと。もちろん技術者にもこの業務知識が問われる。『ITSS-DS』では業務知識を診断する仕組みがあり、これを利用することにより将来的には評価につなげることができるかもしれません」(栗田氏)


Company Profile

株式会社大和総研

所在地 本社:東京都江東区冬木15-6
設立 1989年8月1日
資本金 38億9,800万円
URL http://www.dir.co.jp/index.html
事業内容 リサーチ、コンサルティング、システムという3事業を核に、トータルソリューションを提供する総合シンクタンク
担当部署 品質管理本部 人材開発室

2006年4月に、人材育成の体制強化のため新設された。社内外で通用するプロフェッショナルの育成を目的としている。資格取得支援や、ITSSをベースとした教育体系の構築など、人材育成に関する一連の業務を担当している。


※記載内容は記事掲載当時のものです