ITエンジニアのストレスチェック実態調査

 労働安全衛生法の改定に基づき「ストレスチェック制度」が創設され、2015年12月1日から施行されました。50人以上の事業所では、法律施行後1年以内にストレスチェック実施と管轄の労働基準監署への実施状況報告が義務付けられています。

 IT業界はストレスの多い職場と言われ、早急な対策が望まれてきました。こうした背景を受けてITスキル研究フォーラムでは毎年実施している『全国スキル調査』の中で、エンジニアを対象にストレスについての実態調査を行っています(2015年から開始)。厚生労働省が定めた57のストレスチェック項目のほか、パーソナリティ(個性)やモチベーションについても調査を行い、エンジニアの実態を多面的に把握することが可能となっています。


2015年 調査概要

  1. 調査期間:2015年6月15日~8月16日
  2. 調査枠組み:第14回全国スキル調査 (*) <こちら>
  3. 調査対象:ITエンジニア、組込みエンジニア、一般企業の情報システム部門などに携わるエンジニア
  4. 調査方法:iSRFの全国スキル調査サイト上で、調査参加者が年齢、経験、担当業務などのフェイスシートに加えて自己申告にて、自身が感じているストレス度や労働時間、睡眠時間などについて5段階のチェック方式にて回答
  5. 調査項目:厚生労働省指定の57項目に加え、iSRF独自の調査項目として、ストレス抵抗力に関する設問13項目と食事、運動、睡眠などについての生活習慣の設問12問を追加

(*)「全国スキル調査」:ITスキル研究フォーラム(iSRF)が2002年より毎年夏に実施している日本で唯一のIT系エンジニアのスキル調査。14年間でのべ30万件を超えるスキル調査データを持ち、企業の人材育成のための指標として活用されている


2015年 調査結果サマリー

ITエンジニアは高ストレス

 厚生労働省が定める「高ストレス」者に該当するものが17.8%と、他業種も含めた厚生労働省調査による10.1%の1.8倍となっており、他業種に比べて高いストレスを感じていることがわかった。

労働時間が長いと高ストレスの割合急増

 月間の労働時間が、200時間を越えると急激に高ストレス者の割合が増加し、全体の4分の一を超える26.4%が高ストレス者だった。



スキルが高いとストレスをあまり感じない

 経済産業省が定めたITエンジニアのスキル標準(ITSS)に基づく、スキルレベルによる分析では、高いレベルのエンジニアでは「高ストレス」者はわずかに2.3%とミドルレベル(17.7%)やエントリーレベル(20.0%)にくらべて、率は低い。

大企業ほど高ストレス率が高い

 従業員数5,000人を超える大企業では、高ストレス者は25%にのぼり、平均の17.8%より高く、高ストレス率が高い。



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