人材育成コラム
“人財”育成のツボ
2009/09/24 (連載 第5回)
自ら学び、気付いたことは、身に付く!(3)
ITスキル研究フォーラム 人財育成コンサルタント / PSマネジメントコンサルティング 代表
安藤 良治
今回と次回はPBL(Project-Based Learning)型演習についてのご紹介です。

研修当初の1ヵ月半は、コンピュータ基礎知識、ビジネススキルの習得、WEBアプリケーション開発実習を行いました。
そして、後半の5月14日より6月29日までの33日間、インタビューから開発まですべての工程を経験する「システム提案/開発演習」を実施しました。この演習にはPBL(Project-Based Learning)型式を取り入れました。
この演習では、研修のまとめとしてプロジェクトの全工程を体験し、顧客満足を得るシステム作りを学びます。
新入社員の皆さんがいったん職場に配属されると、しばらくの間はシステム開発の全工程に関われる機会はほとんどありません。この演習で全工程をひと通り経験し、システムを作る目的はもとより、「顧客の目的」や「顧客の顧客」を考える習慣を身に付けてもらうことも大きな目的です。
演習では新入社員(約40名)は7つのチームに分かれます。各チームはバーチャルカンパニーを設立し、プロジェクトチームを発足させます。メンバーの役割も明確にした上で、以下の流れで進めました。
①インタビューフェーズ
②第1回プレゼンテーション
③設計/製造フェーズ
④トッププレゼンテーション
まずは、①インタビューフェーズと、②第1回プレゼンテーションです。 プロジェクトチームは、顧客役である私にアポイントを取ってから、ビジネスマナーを発揮して、インタビューを始めます。
顧客はITのことをよく知らないという前提で進めます。メンバーからの質問に対しても、現状の業務やありたい姿については話しますが、何をして欲しいとはあえて明確に言いません。
1回のインタビューは30分。計7回のインタビューのチャンスの中で、どれだけ顧客の現状を理解し、システム化の提案ができるかが鍵になります。
私が顧客役となり、7チーム×7回、計49回24.5時間のインタビューを4日間で受けます。さらに追加インタビューとして、第1回プレゼンテーションまでに各チーム3回程度の機会を設けました。
新入社員にとってもこの期間は、私が講師でなく、顧客であるという気持ちになって接します。
お互い役を演じ切る、「成り切る」ことが重要ですし、それができていました。
そして、第1回プレゼンテーション。このプレゼンテーションも顧客への提案です。私は直前の1日だけ講師に戻り、リハーサルを行い、振る舞いや話し方についてのアドバイスをします。
部屋に入る時点から、終了して退室するまで、全ての時間がプレゼンテーションであることを確認して本番に備えます。
プレゼンテーションには、クラスマネージャー・講師並びに顧客運営部門の幹部が出席しました。出席者は全員、この演習での顧客役になり、質疑を行いました。
次号では、新人研修での(2)PBL(Project-Based Learning)型演習の後編をご紹介します。
(※この記事は2009年9月3日に「iSRF通信」で配信された記事を元にWeb掲載用に編集したものです)
