人材育成コラム
“人財”育成のツボ
2014/04/15 (連載 第59回)
新時代の徒弟制度、OJL(On the Job Learning)の定着と実践
ITスキル研究フォーラム 人財育成コンサルタント / PSマネジメントコンサルティング 代表
安藤 良治
皆さんは、「70-20-10モデル」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。今回頂いたご意見の中に、ロミンガー社の「効果を与える学習に関する調 査」について教えてくださった方がいました。
調べてみると、米国のロミンガー社のマイケル・ロンバルトとロバート・アイチンガーが1996年に発表した調査結果でした。それによると、成功したリー ダーたちの学習に影響を与えた割合を訪ねたところ、
70%・・・実生活や職場、仕事での体験
20%・・・薫陶(くんとう)、他者からのフィードバックや示唆
10%・・・集合研修やeラーニング、読書
だったという結果でした。
主に集合研修を通じて企業の人財育成のお手伝いしている私としては、ショッキングな数値です。
このことについてインターネットで関連記事を調べると、神戸大大学院経営学研究科金井教授の論文がありました。金井教授はこのモデルについて以下のよう に述べています。
キーイベントの9割は、「働きながら学ぶ」ということだ。この高い比率は、OJTや経験からの学習ということの重要性を物語っている。また、1割という
低い座学のウェイトは、研修が無意味だと言っているわけではなく、研修を受講生の経験や関係と、事前にも事後にも結び付けなければならないことを強く示唆
している。
現在の研修は、業務に直結した体験型のコースのニーズが高いことをこの調査結果や金井教授の論文が示しています。さて、私はIT人材育成事業者協議会(以下ITTVC)のラーニングファシリテータ(以下LF)の育成プログラムの開発メンバとしても活動しています。
LF育成プログラムの開発会議でもこの調査結果やOJTについて議論しました。そこでITTVCの加藤会長からは、「OJTについて」という題で以下の ご意見を頂きました。
OJTとは
仕事をしながら必要なスキルや知識を学ぶ
仕事をしながら仕事を覚える
仕事を通じて能力を高める
こと。しかし、実態は企業ごとに解釈はバラバラではっきりとした方法論はない。
だから、OJTはシステマティックに計画・統制・実施されたものにはなりにくい。ただ仕事をやらせているのであれば、仕事なのか、訓練なのかわからない。 どう教えてよいかも分からず、効果も測定しにくい。
企業側はOJTを実施して、人材育成に力を入れているつもりでも、育成される社員のほうでは、指導されているという意識がないのが実態ではないか。
一方、教える側の先輩たちも、日常業務に忙殺されて教育しようとする余裕がない。自分自身もきちんと教えられた記憶がないから、後輩を教える自信がない。
以上が現在のOJTの実態ではないだろうか。
このような状況でOJTを再構築しましょうと言っても、すでにしみついた概念を新たにすることは中々むずかしいと思われる。
現場での日常の仕事はもはや訓練とは言えないのではないか
計画や統制・実施と言った明確な目的と手順が無いものは訓練とは言い難い
仕事の現場は、実際の仕事を通して経験し、経験を振り返り、新しい手段や対応を考え、試行して行きながら仕事の成果と能力の向上を目指して行くという、 自立的な学びの場でなければならないと思う。
従って、今後提唱すべき概念としてはトレーニングではなく、ラーニングが良いのではないか。つまり、OJTからOJL(On The Job Lear ning)である。
この仕事を通しての学びをサポートするシステムを構築しなければならない。その際、以下の3つが必要になる。
(1)指導する人材の育成・・・・・・・・・ラーニングファシリテータの育成
(2)指導される側の意識づけ・・・・・・・・・・・・・・経験からの学び方
(3)育成環境の整備(時間、資金、仕組み…)・・・
・・・・・・・・・・先輩からのノウハウ伝授、先輩との対話、勉強会等
つまり、われわれが進めている「ラーニングファシリテータ」とは、OJLを推進する人すべてを対象として今後展開していく。
私は、加藤会長の言うOJL(On The Job Learning)という考え方に賛同しました。仕事をしながら必要なスキルや知識を学ぶ
仕事をしながら仕事を覚える
仕事を通じて能力を高める
こと。しかし、実態は企業ごとに解釈はバラバラではっきりとした方法論はない。
だから、OJTはシステマティックに計画・統制・実施されたものにはなりにくい。ただ仕事をやらせているのであれば、仕事なのか、訓練なのかわからない。 どう教えてよいかも分からず、効果も測定しにくい。
企業側はOJTを実施して、人材育成に力を入れているつもりでも、育成される社員のほうでは、指導されているという意識がないのが実態ではないか。
一方、教える側の先輩たちも、日常業務に忙殺されて教育しようとする余裕がない。自分自身もきちんと教えられた記憶がないから、後輩を教える自信がない。
以上が現在のOJTの実態ではないだろうか。
このような状況でOJTを再構築しましょうと言っても、すでにしみついた概念を新たにすることは中々むずかしいと思われる。
現場での日常の仕事はもはや訓練とは言えないのではないか
計画や統制・実施と言った明確な目的と手順が無いものは訓練とは言い難い
仕事の現場は、実際の仕事を通して経験し、経験を振り返り、新しい手段や対応を考え、試行して行きながら仕事の成果と能力の向上を目指して行くという、 自立的な学びの場でなければならないと思う。
従って、今後提唱すべき概念としてはトレーニングではなく、ラーニングが良いのではないか。つまり、OJTからOJL(On The Job Lear ning)である。
この仕事を通しての学びをサポートするシステムを構築しなければならない。その際、以下の3つが必要になる。
(1)指導する人材の育成・・・・・・・・・ラーニングファシリテータの育成
(2)指導される側の意識づけ・・・・・・・・・・・・・・経験からの学び方
(3)育成環境の整備(時間、資金、仕組み…)・・・
・・・・・・・・・・先輩からのノウハウ伝授、先輩との対話、勉強会等
つまり、われわれが進めている「ラーニングファシリテータ」とは、OJLを推進する人すべてを対象として今後展開していく。
そしてITTVCにおけるLF育成プログラムをOJLの推進者向けに展開することとしました。
また、このコラムにおいてもITTVCのホームページと連動して「新時代の徒弟制度、OJLの定着と実践」をテーマにしばらくシリーズでお伝 えしたいと思います。
読者の皆さんには、OJLに関するご意見を頂戴したく、お待ちしております。
(ご意見はiSRFホームページから、もしくは私宛 yando@b-cep.com までお願いします)
