人材育成コラム

“人財”育成のツボ

2015/07/17  (連載 第74回)

人が育つ文化を作る

ITスキル研究フォーラム 人財育成コンサルタント / PSマネジメントコンサルティング 代表

安藤 良治

 「人が育つ文化」
 その文化の下では、人々は礼儀正しく、先人からの教えを学び、倣い、その文化の継承者として型を守る【守】
 型を身に付けた者は、変わりゆく環境の下で、変化に挑み、環境に適合する、そして自分自身の型の有りようを探求し、新たな型の開発に取り組む【破】
 経験を積んだ者は、新しくその文化に入ってきた者を育て、まずは型を教え、学びの支援者として、その者の成長を見守る。指導者としての素養を身に付けた者は、やがて自ら率いる郷(職場)を与えられ、そこに自ら新しい文化を形成する【離】

 本コラムで1年以上かけてお伝えしてきたOJL(On the Job Learning)そしてその推進者であるOJLファシリテータ(OJLF)の目指す姿は、上記のような「人が育つ文化」を作ることにあります。
 読者の皆さんの職場では、既に「人が育つ文化」となっているでしょうか。
 高いマインドでメンバを率いているリーダーがいる職場では、「人が育つ文化」に近い風土ができているかと思います。「仕事の生産性」が高く、「働く者の満足度」も高い職場がそこにはあります。

 「全ての職場がそうであって欲しい。」
 しかしながら現実のリーダーの行動は、業績確保に追われ、メンバのモチベーションよりも業績確保の為の「仕事の指示」中心の運営、リーダー自身が忙しくモチベーションも決して高くないという例が少なくありません。そもそもリーダーに就任する前に、「人を育てた経験がない」というリーダーもいます。
 リーダーに任命する前に、OJLファシリテータの役割を担い、その素養を身につけるための学習も行うことが、「人が育つ文化」を形成できるリーダーを育成することにつながります。

 では、具体的にどのようにOJLの制度を導入し、OJLFを任命していけば良いのでしょうか。
 会社の状況によっていくつかの方法が考えられます。
(1)トップダウンアプローチ

 OJL制度の導入とOJLFの任命をトップの了解の下、全社的に展開するアプローチ。

(2)トライアル職場の選定と展開

 OJL制度の導入とOJLFの任命に賛同する部門長を見つけ、全社的に展開する前に当該部門でトライアル実施するアプローチ。

(3)スモールスタート

 OJL制度の導入とOJLFの育成に賛同する職場のマネージャーを集め、OJLFとして活動する人を人選し、研修受講とOJLFとしての活動を実践するアプローチ。


【OJLを推進する職場と人財開発部門との関係】

 「人が育つ文化」を作るために、OJLを推進する職場と人財開発部門との良好な関係が欠かせません。
 部門毎にOJL推進の責任者を任命し、人財開発部門との定期的な意見交換を行なう中で自社に合った仕掛けを作ることが重要です。


【OJLF研修の受講】

 現在OJLF研修のプログラムをIT人材育成協会(ITHRD)にて開発中です。トライアルを希望する企業にて研修を先行実施し、その評価をもって公開コースに展開する予定です。
 プログラムの内容は、本コラムで昨年4月より連載した「新時代の徒弟制度OJL(On the Job Learning)の定着と実践」がベースとなります。


 OJL制度の導入とOJLFの任命、そしてOJLFの育成に賛同いただける方、興味のある方は、以下のアドレスにメールを送付ください。【 ojlf.mail@b-cep.com 】

 「人が育つ文化」を共に作りましょう。

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