ご利用事例 

本田技研工業株式会社

UISSを人材育成のプラットフォームとすることにより、サービス提供型人材の計画的育成に繋げる


(前ページからの続き)


 ITスキル研究フォーラム(iSRF)のコンサルタントは2週間に1回の頻度で定義作成のレビューと検証、レベル閾値策定について支援を行った。まず、Honda IT内で定義した6つの人材像について必要なスキルとキャリア(達成度指標)を整理してレベル別の人材像まで定義した。
 スキル診断システムは「DS-Advance」ツール内にあるUISSコンテンツを参考に構築。その後、部門内で6人材像ごとにモニター受診を行いスキルレベルの結果が実際の人材(メンバー)の力量と整合しているかを検証し、チューニング合わせをしながら本番実施に臨んだ。
 とはいえ、部室長や管理職を含め部員全員が100%腹落ちしているわけではない。そこで、その穴を少しでも埋めるための努力もしている。社内説明会がその一つ。全部員を対象として、2013年は1年間で約20回も開催している。また、経営への報告も欠かせない。TOP診断(経営層への報告)でIT戦略実現の為の実行課題など経営の関心事項に置き換えて報告している。



もっとDS-Advanceを活かすために

 では実際にDS-Advanceをどのように活用しているのか。
 まずは個人のスキルアップ。毎年実施している2WAYコミュニケーションに、期末に実施したスキル診断を活用している。個々人に対し、何が弱いのか、何に力を入れるのか、この面談で所属長とじっくり話し合い人材育成計画を策定する。DS-Advanceのタスク中分類から研修やOJTへのアサインも実施している。2WAY面談への利用によって、一人ひとりが具体的な目標設定をイメージできるようになったという。


埼玉県 和光ビルにて、ホンダジェットの模型をバックに
佐藤氏、安藤氏、玉生氏 (写真左から)


埼玉県 和光ビルにて、ホンダジェットの模型をバックに
佐藤氏、安藤氏、玉生氏 (写真左から)

 組織での活用としては、人材の適正配置と要員の確保。スキルサーベイの結果を使い、組織分析を実行し、今後の戦略的な人材戦略に役立てる。組織としての「仮説が」スキルサーベイにより実証できたことで可能になった。この人材戦略は、前述の社員の人材育成はもとより、中途採用にも反映させる。このため最近では、定期採用と中途採用(キャリア採用)のバランスも検討課題である。
 さらに進んだ活用も模索している。JOBローテーションやソーシング戦略への活用である。現状の要員過不足の解消だけでなく「体系的な仕組み」として確立するのが狙い。これまでのJOBローテーションは各個別の部門間で実施していた。部門にまたがる「JOBローテーション会議」を設置し、キャリア履歴なども利用・分析して「キャリアステップモデル」をつくる計画だ。また同時に内部と外部の役割の整理にも着手した。体系化はこれからだが、2014年から重要施策に据えている。


 日本、北米、南米、欧州、アジア大洋州、中国、中近東・アフリカなど6極 +1の拠点で活躍するグローバルなタレントマネジメントでの活用も視野に入れている。グローバル視点を考えると、コアコンピテンシー診断の領域に「言語力」項目が必要になる。また、グローバル展開を進めるには自己申告の客観性の担保も課題だという。

 最後に今後導入する企業へのメッセージを聞いてみた。すると「診断サービスの希望でもあるが、ユーザー企業のIT部門で各社横串に比較し、自社の特徴がお互いに分かれば良いので、導入を検討してみませんか」とのこと。そうなれば、DS-Advanceを利用したスキル診断の可能性は、さらに広がるだろう。