事例レポート

(※ 過去バーションのDSシリーズでの利用事例を含みます)


ETSS-DS事例


NEC通信システム

スキル、キャリアの定量化で技術者と上司のやる気が向上

※ 所属、役職等は記事掲載当時のものです(2007年掲載)

ETSS-DS事例


NEC通信システム

スキル、キャリアの定量化で技術者と上司のやる気が向上

※ 所属、役職等は記事掲載当時のものです(2007年掲載)


 組込みソリューション事業が拡大しているNEC通信システムは、組込みソフトウエア技術者の育成に注力している。人材育成のために必要なスキルやキャリアを明示し、定量化を図った。定量化が可能な評価ツールとして活用したのが、組込みスキル診断システム「ETSS-DS」である。進むべき道を明確化することで、技術者のスキルアップの意欲が増し、管理職も指導しやすくなった。

「ETSS-DS」を活用した人材育成の仕組み

診断~実行までの流れ

診断~実行までの流れ

「ETSS-DS」を活用した人材育成の仕組み

「ETSS-DS」を活用した人材育成の仕組み

診断~実行までの流れ

診断~実行までの流れ

「ETSS-DS」を活用した人材育成の仕組み

 NEC通信システムは、通信システムのソフトウエア/ハードウエア開発、システム・インテグレーションを行っている。さらにそこで培った技術やノウハウを活かし、車載機器や情報家電向けの組込みソリューションにも注力している。組込み分野の事業は、市場の拡大と共に売り上げも急増したので3年前に組込システムソリューション事業部を新設した。

 同社では「人材」を「人財」と捉え、スキルとキャリアの2つの観点で育成を行っている。組込システムソリューション事業部シニアエキスパートの田辺宣一氏は、「技術者のスキルやキャリアを育成するためにも、それらの定量化は不可欠だと考えた」と語る。そこで活用したのがETSSである。「ETSSはスキルとキャリア双方を定量化できるため、当社の人材育成の方向性に適合した」と述べる。

スキル、キャリアの分布状態から育成方法を検討

 技術者のスキルやキャリアを定量化することのメリットの第一は、技術者本人がどのような状態にあるかわかるようになり、目標を設定しやすくなること。第二に本人だけではなく、その上司もスキルやキャリアについて深く考えるようになり、モチベーションが高まること。第三に全社あるいはグループごとの人材の分布がわかり、事業計画と人材育成との連動が可能になること。さらにその人材育成のための教育やジョブ・ローテーションは、個人の技術者のことを考えて計画することが可能になる。これらにより、計画的な人材育成と効率的な技術力強化が可能になるという。

 2006年3月、各技術者のスキル、キャリアの定量化を行うため、スキル診断システム「ETSS-DS」を使った技術者の評価を実施した。その結果について田辺氏は「専門領域のテクニカルスキルは強いが、コミュニケーションやネゴシエーション、企画力が強化ポイントであることが分かった。これを今後に活かす」と語る。

 今後、同社では年2回スキル診断を実施していくという。そしてその結果を基に各技術者はスキルアップとキャリア形成の目標を設定する。一方グループ・マネジャーは、各技術者の目標を達成するためのジョブ・ローテーションや教育などの年間計画を策定する。人材育成の当面の目標は「プロジェクトマネージャ(PM)の強化だ。各グループ・マネジャーには、ハイレベルのPMを1年に2名以上育てるという目標を課している」

定量化ツールとしては満足だが、まだまだ改良の余地も

 「ETSSの本格的な活用はこれから。この秋に予定している2回目の診断が終わった段階で、どれだけスキル、キャリアが向上したかが評価できる。中にはスキルやキャリアの向上が目標に到達しないことも考えられる。その場合はなぜ成果が出なかったのか、上司は教育や仕事の割り振りを見直すことができる。そこで初めて、『ETSS-DS』の導入効果が実感できると思う」

 ETSSと「ETSS-DS」を導入したことにより、現場のキャリアやスキルアップへの意識が変わってきたという。「優秀な人ほど、達成感を求めるもの。スキルやキャリアの目標が達成できたかどうかが、数値となって表れるので、向上心が刺激されたようだ」

 ETSSや「ETSS-DS」はスキルやキャリアを定量化するツールとしては満足している。ただし、まだまだ改善する余地があると田辺氏は指摘する。その第一が、「ETSS-DS」の結果はあくまでも自己評価でしかないことである。「例えば公的な資格とリンクするなど、『ETSS-DS』での評価が世間でも通用するものになってほしい」という。第二が技術要素の階層が少ないと感じられること。組込事業分野は多岐にわたり、難しい面もあるが、第三階層まで、ある程度入り込むといった見直しの必要性も示唆した(「ETSS-DS」では、第三階層の設問も設定される予定である)。また、「人事制度とのリンクも重要になってくるが、現在のNCP(NECプロフェッショナル認定制度)における要件にも、ETSSが意識されている部分がある。これを活かし、モチベーションアップに繋げていきたい」と展望を語った。


Company Profile

日本電気通信システム株式会社

所在地 本社:東京都港区三田1-4-28 三田国際ビル
設立 1980年1月
資本金 10億円
URL http://www.ncos.co.jp/
担当部署 エンタープライズ・ソリューション事業グループ基幹業務事業ユニット

CMMやCMMIなどの開発プロセスのコンサルティングから、上流から下流工程までの検証支援、ソフト、ハード両面での開発トータルソリューションなど、長年培ってきた通信システムにおけるノウハウを基にした最適な組込みソリューションを提供


※記載内容は記事掲載当時のものです