人材育成コラム
リレーコラム
2009/06/05 (第1回)
応募者の面接に8時間を費やす、ある社長の話
ITスキル研究フォーラム 事務局長
森田 哲也
この夏の中途採用への応募者は130名超。書類選考を経て対象者を20名に絞り込 みましたが、毎日1人しか面接できないので、単純計算で20営業日=約1カ月か かる計算です。「それで社長業は大丈夫なのか」、「8時間もの面接なんて、いっ たいなぜそんな必要があるのか」・・・。いろいろな疑問が浮かんだので、さら に聞いてみました。
面接は人生相談みたいなもの
入社時にはお互いに、「あなたは何時間だった?」と、面接時間の長さを言い 合うのが挨拶となっているとのこと。この会社の従業員は130名ほどで、売り上げ は本年度10億を超える受託開発企業。このところ増収増益を続けています。すべ ての社員にコミュニケーション研修を受講させたり、資格試験にも必ず手当てを 出すなど、人材育成にも意欲的です。「それにしても8時間は長すぎるのでは?」 という疑問を払拭しきれず、さらに聞きました。
「私の経験上、人間、8時間、膝をつき合わせて話せばだいたい分かる。それ に、人の話を真摯に聞き続けることができる人は大丈夫、仕事もできる。当社の ようなIT企業は人が命だから、一番大切なことだ」。
社長によると、入社した社員からも「社長の人柄を知ることができる、つまり は会社を知ることができる」、「採用者と応募者の双方が納得するまでコミュニ ケーションする。結果として8時間になっているだけ」、「ずっと対面していると 振舞うことができなくなる。本質を見られているのがよく分かる。真剣に面接し てくれているという信頼感があった」などと好評だそうです。社員本人に聞いた わけではないので、割り引いて受け取る必要がありますが、社長の人柄を知って いる筆者としては、納得です。
落選者とのコミュニケーション
8時間面接も驚くべきものですが、面接しない人とのコミュニケーションもなさ れていることに感心しました。人と話す、人の話を聞くということを改めて考え させられた話です。
(※このコーナーの記事は2008年9月以降に「iSRF通信」で配信された記事をWeb掲載用に加筆修正したものです)
