人材育成コラム
リレーコラム
2009/08/26 (第3回)
任天堂の大ヒットゲーム機「Wii」にITSS-DSの課題を見た!
ITスキル研究フォーラム ソリューションアナリスト
永田 好範
世間一般はもとより、IT業界でも「DS」と言えば後者を指すでしょう(ちなみに前者は診断システム、後者はダブルスクリーンの略です)。筆者としては、「ITSS-DSも、頑張っているぞ!それにDSの名前をつけるのは早かった!」と、自分を納得させています。
さて、そんな任天堂の製品に関して最近、飲み屋のおねーさん(ボッチャリめ)から興味深い話を聞きました。
ゲーム機「Wii」にダイエットをしたい人向けの「Wiiフィット」という製品があり、彼女は1ヶ月前にWii本体とWiiフィット(体重計機能がある)をセットで購入したといいます。利用方法はまず、何週間後かの減量目標数値を設定。この時、過大な値を入れると「達成できてもリバウンドする可能性が高いです」など、憎たらしいが的確なアドバイスをしてくれるガイドもしてくれるようです。
適切な目標をセットしたら、あとは日々、Wiiフィットを起動して適宜表示される運動メニューを見ながら、「いっち・に・さん・し」と、運動に頑張るのみ。はじめは簡単な運動だけで本当に痩せられるの?と思ったようですが、だんだんと運動量が多くなってきて今は結構きついといっていました。そして結果として、ポッチャリおねーさん1ヶ月で3キロも痩せたのだそうです。毎日、体重の推移がグラフ表示されるので、やる気と継続力が出そうな仕組みなんですね。
やる気を維持し努力を継続させる仕掛けが大事
筆者はこの話から、体重をスキル(キャリア)に、WiiフィットをITSS-DSに置き換えて考えてみました。「1年間仕事をしてスキル診断・結果を見る、さらに1年間仕事をしてスキル診断・結果を見る・・・」というのがITSS-DSの活用法ですが、さてどうだろう、ITSS-DSはやる気と継続力が出そうな仕組みを提供できているだろうかと・・・。周知のように、ITSS-DSは客観的な指標の提示や今後に向けたアドバイス、弱みに対する研修ナビガイド、業務経歴書や企業での取り組みに対するサポートツール、その他いろいろなサービスを提供しています。しかし個人の継続力に目を向けると、目標設定と結果のフォローまでを一貫してサポートするところまでは至っていないかも知れません。 Wiiは個人向け、ITSS-DSは企業向けで、用途も異なりますから、比較するのが間違っているようにも思えます。それにしても筆者は、Wiiに負けた気分でした。
「スキル診断ツールでできることは限りがある。3年、5年単位で見れば別ですが、仮に毎月、スキルを診断して経過をグラフ表示しても、そう変化はないはず。だが、そうであっても、できることがもっとあるはずだ」といった感じです。 やる気を維持してスキル向上の努力を継続できるような、あるいは楽しみがあって目標を達成できるような、そんなサービスに向けて、努力をしたいと考えています。
当然、ITSS-DSだけではありません。個々の人材の自己成長に向けた動機づけとして、周りのサポート環境は重要です。人事制度や教育制度の整備、メンターの設置、インセンティブなどなど・・。こうした人材育成に携わる方々が苦心・工夫されていることと、最適な形で連携できるように、ITSS-DSを強化する。 ゲーム機に負けないように、皆様と一緒に活力ある企業風土を作るために頑張らせていただきたいです。
(※このコーナーの記事は2008年9月以降に「iSRF通信」で配信された記事をWeb掲載用に加筆修正したものです)
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