人材育成コラム
リレーコラム
2010/06/15 (第5回)
先人の教えを活かす
ITスキル研究フォーラム 理事
NECソフト 技術統括部 統括マネージャー 兼)人事総務部 エグゼクティブエキスパート
福嶋 義弘
私も、先人の教えを人材育成に、そして自分の人生の戒めとして活かせないか と思い読み始めました。今回は、その中の数編を紹介したいと思います。
「万化を楽しむ」 (荘子)
人生は多くの変化があると、とかくネガティブになりがちです。しかし、自分 に与えられた機会とポジティブに考え、その変化を楽しもうということです。
2008年のリーマンショック以降、大不況となりました。ビジネスだけでな く、失業者が増加し、報酬が伸び悩み、個人消費も低迷。まさに負のスパイラル へ入っています。IT業界もクラウド時代と言われ、業界のパラダイムが変わり、 将来の展望が見えづらくなっています。
しかし、このような状況に対し不満を言っていたらきりがありません。先日、 公開された「IT人材白書2010-帰路に立つIT人材-」のサブタイトルは 「~変革期こそ飛躍のチャンス~」。まさにパラダイム転換は好機到来なのです。 この潮流の流れに乗り、新たなビジネス創出、先端技術の習得など、自分の活躍 の場を広げるチャンスであるとポジティブに考えようではありませんか。
「飄風は朝を終えず、驟雨は日を終えず」 (老子)
今日は嵐であっても明日は晴れる。どんなに激しい雨でも、やがては止む。突 風が吹いたとしてもいずれは収まる。
例えば、高い地位を得ても、いつまでも、その地位に安住することはありませ ん。事業に成功し富を築いても、永久にその財産を守ることはできないのです。 三代の相続をすると財産は無くなるといわれています。絶えず、状況は変化して いるのです。
以前、木村拓哉さんと山口智子さんが共演し、1996年に放映されたドラマ 「ロングバケーション」を思い出しました。木村さん扮する無名のピアニスト瀬 名の台詞で「今はロングバケーション、やがておとずれる好機のための充電期間」 というものです。
実は私自身が上司とうまく行かないとき、仕事で成果が上がらないときなど、 この台詞を頭に浮かべ乗り越えてきたのです。
良いことは長く続かない、そして悪いことも長く続かないと考え、世の中は絶 えず変化するものと覚悟し、訪れる変化に柔軟に対応することが肝要--これが 先人の教えなのです。
参考文献:三笠書房「老子・荘子の言葉100選」境野勝悟氏著
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