人材育成コラム

リレーコラム

2020/04/21 (第119回)

アフターコロナの働き方

ITスキル研究フォーラム クラウド人材WG主査
株式会社NTTPCコミュニケーションズ 営業本部 営業企画部長

中山 幹公

 新型コロナウイルス感染拡大により様々な業種のビジネスが影響を受けている。ICT業界においても、各社ごとでビジネスの進捗がストップしているところもあれば、逆にお客様からのお引き合いやお問い合わせ、もしくはクレーム対応などに追われている企業もあるだろう。

 数年前から「働き方改革」として、リモートワーク/在宅勤務の推進や、様々なクラウドアプリケーション利用の促進、押印処理に代表されるアナログ処理廃止/DX化などが叫ばれてきており、もともと東京オリンピック・パラリンピック開催期間である今年の夏には通勤がかなり厳しくなるため各社ある程度は検討や準備を進めてきたところも多いだろう。

 とは言いつつも、そうした在宅勤務に代表されるような働き方改革は、オリンピック開催中のせいぜい1カ月程度の話で、その期間だけ我慢すればいいだろうと思っていた方も多いと推察する。もしコロナウイルスがなかったら、オリンピックは今年予定通り行われていただろうが、その期間は一定の「働き方改革」が進められたとしても、オリンピックが終わればおそらくきっと元の働き方に戻っていたのではないかと思う。

 ところが、この新型コロナウイルスのまん延という一大事が世界を襲った。これにより東京オリンピックは来年に延期となったが、「働き方改革」はどうなるだろうか。きっと日本人の多くは少なくとも現時点ではスイッチが切り替わっているのではないかと思う。いままで「働き方改革」について“一過性のもの”あるいは“方向性は理解するが現実はなかなか変わらないよ”と思っていた方も多いだろうが、この新型コロナウイルスのまん延により、「やはりこれは必要なことだ」「早く進めなければならない」と考え方を変えた方も多いのではないかと思う。

 また、在宅勤務についてもこれまでは「そうは言っても在宅ではちゃんとした仕事はできないよ」「在宅勤務などと言って実はサボっているんじゃないか」というようなネガティブな印象を持っていた方も多いだろう。そういう方はどうだろうか。実際やってみて「意外とこれでも仕事はできるな」「思ったより忙しいな」と思っている方が多いのではないだろうか。

 こうした意識の変化は、われわれの意識の変化がウイルスにより「早回し」されたとも言える。「働き方改革」からは少し外れるかもしれないが、これまでのビジネス慣行も変わらざるを得ないだろう。例えば、取引先とのリレーション維持のためには定期的な懇親会(割烹料理屋などでの会食、その後はクラブやスナックなどでの2次会)が必須というような価値観、込み入った相談などはチャットやメールなどではなく対面でないと合意に持ち込めないといったような価値観、体調が悪くてもはってでも会社に行くことが美徳とされるような価値観、これらすべてが急速に瓦解したのではないか。もちろんそれらはウイルスがなくともすでに瓦解しているとの指摘もあるだろうが、守旧派の方々、特に大企業の要職に就いている方、年配の方、過去のやり方で成功体験が染みついている方たちは、言葉では変革に理解を示しながらも、行動や価値観はなかなか変わらないものである。

 思えば、人々の意識変革というのは人類規模/世界規模での大きなイベントやインシデントがあって大きく変わってきたという歴史もある。そういう意味ではいままさに時代の転換点の中にわれわれはいるのだろう。

 このウイルスがいつ収束するのか、当然ながら私にも分からないが、収束されたあとに一定の“揺り戻し”は来るだろうが、不可逆的かつ加速的な変化がいままさに起こっていると感じているのは私だけではないだろう。


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