人材育成コラム

リレーコラム

2020/11/24 (第128回)

成功か成長か

株式会社チェンジ シニアマネージャー

神宮司 剛

 人生100年時代、学び直しが必要だと言われる時代。とは言え学び直しってなかなか難しいなあと感じるこの頃。そんなことを考えていると、最近仕事でよく聞く「DXの必要性は分かるがどう始めたらいいのか?」という問いに通じる所があると思いました。今日はそんな話を書いてみます。

 初めまして、神宮司と申します。現在、株式会社チェンジにて企業変革やDXを人材育成の面から支援しております。20代をSE、30代を業務・ITコンサルタント、40代は事業責任者として今に至ります。
 仕事やプライベートで高い専門性を持って活躍する方と接する機会も多く、そんな時に自分も何か始めようかなと思うことがあります。何かを始めるのに遅すぎることはない、という格言もありますし、まして人生100年時代です。「よーし、俺も!」と思うのですが……なかなか腰が上がらない(苦笑)。

 なぜ腰が上がらないのか? 一言で言うと始める前から途方に暮れてるんですね(笑)。活躍している方は努力や苦労を積み上げてこられてるわけです。何かを知るとその奥深さが見えてきたりもします。なまじ経験値もあるのでなんとかなってしまう。そんなこんなで始める前から途方に暮れてしまう。似たような経験をお持ちの方はいらっしゃいませんか?

 乗り越え方はいろいろあると思いますが、私の最近の気づきは目的の置き換えです。途方に暮れるのは最初から成功や結果を求めているからなんですよね。そうではなく、求めるべきは成長という発想の転換です。何か成し遂げている人たちは、人生の意義を見いだし、成長を求めて過程を楽しんできた結果、今があるのでしょう。「最初から結果や成功を求めて行動しないとは、なんて無意味なんだ……」
 軽い衝撃を受けつつ、ふと思ったのですね。最近仕事でよく聞く「DXはどう始めればいいか」という悩み。総論賛成、各論反対。この原因も目的が成功(しかも高い成功)になってるからではないかと。

 新規事業を始める、成功の保証などどこにもありません。利益が出るのは何年後でしょう。利益の額も既存の事業に対して見劣りするでしょう。なぜそんなことに取り組む必要があるのか? 反対意見があって当然です。コンセンサスが取れるはずもないですね。成功を目的にした結果いつまでも行動できない、そんな組織が少なくないように思います。

 一人ひとりが人生の意義と成長を求めること。そして、会社が存在意義のために成長を求めること。この二つの円が重なったら先が分からない今だからこそ面白い仕事ができそうです。そういう機会を増やすために自分に何ができるか?
そんなことを考えつつ本稿を終わりにします。最後までありがとうございました。

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