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2021/7/20 (第136回)

長寿旅館訪問記~水無月の山梨放浪記、世界最古の長寿温泉旅館に宿泊した~

ITスキル研究フォーラム 理事
株式会社アイテック 顧問

福嶋 義弘

 6月中旬、十数年続く南アルプス市のサクランボ狩りと念願であった山梨県西山温泉の慶雲館に行ってきた。慶雲館は西暦705年(慶雲2年)創業している長寿旅館である。2011年2月に慶雲館(山梨県西山温泉)は世界最古の旅館としてギネスに登録された。以前より長寿の秘訣に興味があり一度宿泊したいと思っていた。コロナ禍で宿泊客の減少が続いているとのニュース報道。普段は予約が難しい旅館、県外の移動ではあるが、予約宿泊した。

 慶雲館は南アルプス櫛形山のふもと、「日本一人口の少ない町・早川町」にある。創業の705年は飛鳥時代、藤原鎌足の長子の藤原真人が発掘、開湯されたといわれている。孝謙天皇、武田信玄、徳川家康なども湯治に訪れたと伝えられている。

 旅館までは、中部横断道の下部温泉早川ICより山間の道を約50分、車で走ると到着する。歴史ある古びた建物の旅館を想像したが、早川沿いの傾斜を利用した近代純和風4階建ての鉄筋建築であった。湯量が豊富なため、全館源泉掛け流し飲用可能である。料理は旬の食材を生かし素材の新鮮さ、味共に堪能できた。特に料理を演出する器にも気配りが感じられた。従業員は挨拶や積極的な会話などしっかりとした躾ができていた。施設や部屋も清潔的で大変満足できた一泊となった。さすが顧客満足度の高い人気旅館、リピーターとして再度訪れたい旅館となった。

 慶雲館のミッションステートメントは、「慶雲館は、幾多の歴史を重ね、時の洗礼を受けようとも、決して変わることのないもてなしの心、日本の和の心を今に受け継ぎ、訪れる人をお迎えしています。」である。幾多の歴史には経営母体が変わったこともあるが、その都度、先代の経営方針が引き継がれ、慶雲館という老舗旅館の長い歴史を刻んできたのである。

 下部より山間を走る狭い道、多くのダンプとすれちがった。後で、旅館の従業員より理由を聞いて驚いた。リニア中央新幹線の南アルプストンネルの掘削工事で、搬出される土砂を運搬するダンプだったのである。品川駅から名古屋駅開業に向けた工事が各所で行われているのである。

 最後にコロナウイルス収束後の楽しみとして6月の山梨は魅力が多いので紹介する。一つは、サクランボ狩りである。サクランボは山形が有名だが、山梨も産地である。2,000円前後で40分間、佐藤錦、高砂、紅さやか、甲州ルビーなどが食べ放題である。高価なサクランボかなりの数食べることができる、コストパフォーマンスが高い。またこの時期は、見延地区の西山温泉や下部温泉では宿泊者対象の夜のホタル観賞ツアーがある。数百匹のホタルの乱舞は圧巻である。

 山梨はコロナ感染防止対策で「山梨モデル」の「やまなしグリーン・ゾーン認証」が評価されている。認証基準の必須項目とされているのは、「全席に目を覆う高さ以上のパーティション(アクリル板等)を設置するか、座席間を1m以上確保する」、「来店者に食事中以外のマスク着用を推奨する」、「2方向の窓を全開にし、30分ごとに5分程度の換気を行う」といったものだけではなく、「山梨モデル」の「やまなしグリーン・ゾーン認証」は、昨年山梨県で創設された制度で、飲食業や宿泊業などが申請できる。同制度は業種ごとに細かな認証基準が定められており、飲食店においては、今回の政府による基準案のベースとなった39の項目が設けられている。施設側はその基準に沿った感染防止対策を行ったうえで申請をする。申請後に山梨県が実地調査をし、基準を満たしているかどうかを確認。基準を満たしている施設に対しては、認証マークが交付されるという流れだ。認証後も県民からの通報を受け付けているほか、抜き打ち検査を行い、認証の質を維持するよう努めている。4月30日付で基準の見直しが行われ、「飲食店利用者に対し、氏名、連絡先等を記入するように要請すること」などが追加された(こうしたデータは、個人情報保護法に基づく適切な管理のうえ、万が一陽性者が出た際の保健所への情報提供にのみ使用される)。今回の旅行で訪れた全ての飲食店や施設では毎回住所や氏名を記入した。利用者としては煩雑であるが、コロナウイルス拡大防止のためにはやむなしと対応した。


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