人材育成コラム
リレーコラム
2022/07/20 (第148回)
Z世代の新入社員の就職活動と育成ヒント
ITスキル研究フォーラム 理事
株式会社アイテック 顧問
福嶋 義弘
株式会社リクルート 就職みらい研究所の5月15日時点の発表では、大学生(大学院生除く)の就職内定率は65.4%と高い水準で推移している。学生の多くは、より自分らしい進路を納得して決められるよう、引き続き就職活動は行っていくようである。この報告書には学生が内定を取得した業種の調査があり、ほとんどの業種が10%前後である中、情報通信業が25.3%とダントツであった。前記 したDXの推進拡大とともに学生の人気が高いことと、情報通信企業の採用競争の激化が影響していると考えられる。
最後に、本年度の新入社員教育が終了し、職場でのOJTが始まったこの時期、毎年紹介している人事労務分野の情報機関である産労総合研究所が発表した「2022年度(令和4年度)新入社員のタイプ」を紹介する。「Z世代」と呼ばれる新入社員、育成の参考になればと思う。
【2022年度新入社員の就職活動の特徴と今後の育成のヒント】
◆いまだ収束していない新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大が始まったのは2020年2月頃。この春、大学を卒業した新入社員たちは、大学3年生になろうとしているときだった。このときから、感染拡大防止のため、大学の活動が制限された。授業やインターンシップがオンラインで行われるようになった。
◆就職活動においても、就職ガイダンス、会社説明会、採用試験、採用面接、内定式等、志望先に合わせて、オンラインと対面の両方のスタイルを二刀流のようにこなして対応した。
しかし、オンラインでのコミュニケーションには限界がある。学生は、職場の雰囲気や社風、仕事のイメージを知りたいが、そのための情報が十分ではなかった。採用側は、人柄や志望本気度の把握が難しかった。お互いに大事にしたいことについてかすかな不安を残しつつ、内定に至った。それは、内定辞退の増加要因の1つとなった。
◆就職内定状況の数値をみると、89.7% (厚生労働省、2022年2月1日現在)となっており、昨年同様、過去と比べるとそれほど悪い数値ではないが、内実は、苦・楽両方の面があったようだ。
「楽」というのは、オンラインでの就職活動により、時間効率がよく、コストもかからない就活を行えたということである。1日に数社、各地の企業を掛け持ちできた。授業の合間に面接をこなすことも可能だった。説明会から面接、内定まですべてオンラインというケースも多くあったようだが、「オンラインだけで内定までもらっていいのか?」という疑問も学生の中に生まれたようだ。
「苦」というのは、先輩や同級生、先生、キャリアセンター相談員と対面で会う機会が少なかったため、就活の状況がわからなかったことである。同級生と情報交換したり、助け合ったりすることもあまりできなかった。
そうしたこともあり、ITツール等を駆使して主体的に就活に取り組んだ学生と、消極的で準備が遅れ、うまく実力を発揮できない学生との二極化が、より顕著になった。
◆入社後は、「イメージしていた仕事や社風、社会人像とは違った!」というギャップを感じることが例年に増して多くなる可能性がある。ギャップをおもしろいと感じてくれればよいが、組織やビジネス社会にうまくなじめないと、不満や悩みを持つかもしれない。
先輩社員たちは、経験不足・情報不足のため未熟にみえる部分や従来とは異なる言動・考え方(オンライン慣れ、リアルコミュニケーションの不慣れ、配属・勤務地へのこだわり、社会貢献への関心の高さ、タイムパフォーマンス志向等)を「新感覚」と捉え、温かく見守ってほしい。新型コロナウイルス感染拡大防止のために活動を制限された(自粛した)結果でもある。まずは受け止めて(認めて)支援いただきたい。
一人ひとりの可能性を見極めて、モチベーションをあげる教育、配属、赴任地を提供できれば、「リアル二刀流」さらに、これまでにない「シン・二刀流」として、新たな才能を開花する可能性は高い。受け入れ側も、教育・働き方・コミュニケーション等のあり方について、彼らの「新感覚」に学ぶこともあるだろう。
(株式会社産労総合研究所 「新社会人の採用・育成研究会」2022.03.28 発表)
◆いまだ収束していない新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大が始まったのは2020年2月頃。この春、大学を卒業した新入社員たちは、大学3年生になろうとしているときだった。このときから、感染拡大防止のため、大学の活動が制限された。授業やインターンシップがオンラインで行われるようになった。
◆就職活動においても、就職ガイダンス、会社説明会、採用試験、採用面接、内定式等、志望先に合わせて、オンラインと対面の両方のスタイルを二刀流のようにこなして対応した。
しかし、オンラインでのコミュニケーションには限界がある。学生は、職場の雰囲気や社風、仕事のイメージを知りたいが、そのための情報が十分ではなかった。採用側は、人柄や志望本気度の把握が難しかった。お互いに大事にしたいことについてかすかな不安を残しつつ、内定に至った。それは、内定辞退の増加要因の1つとなった。
◆就職内定状況の数値をみると、89.7% (厚生労働省、2022年2月1日現在)となっており、昨年同様、過去と比べるとそれほど悪い数値ではないが、内実は、苦・楽両方の面があったようだ。
「楽」というのは、オンラインでの就職活動により、時間効率がよく、コストもかからない就活を行えたということである。1日に数社、各地の企業を掛け持ちできた。授業の合間に面接をこなすことも可能だった。説明会から面接、内定まですべてオンラインというケースも多くあったようだが、「オンラインだけで内定までもらっていいのか?」という疑問も学生の中に生まれたようだ。
「苦」というのは、先輩や同級生、先生、キャリアセンター相談員と対面で会う機会が少なかったため、就活の状況がわからなかったことである。同級生と情報交換したり、助け合ったりすることもあまりできなかった。
そうしたこともあり、ITツール等を駆使して主体的に就活に取り組んだ学生と、消極的で準備が遅れ、うまく実力を発揮できない学生との二極化が、より顕著になった。
◆入社後は、「イメージしていた仕事や社風、社会人像とは違った!」というギャップを感じることが例年に増して多くなる可能性がある。ギャップをおもしろいと感じてくれればよいが、組織やビジネス社会にうまくなじめないと、不満や悩みを持つかもしれない。
先輩社員たちは、経験不足・情報不足のため未熟にみえる部分や従来とは異なる言動・考え方(オンライン慣れ、リアルコミュニケーションの不慣れ、配属・勤務地へのこだわり、社会貢献への関心の高さ、タイムパフォーマンス志向等)を「新感覚」と捉え、温かく見守ってほしい。新型コロナウイルス感染拡大防止のために活動を制限された(自粛した)結果でもある。まずは受け止めて(認めて)支援いただきたい。
一人ひとりの可能性を見極めて、モチベーションをあげる教育、配属、赴任地を提供できれば、「リアル二刀流」さらに、これまでにない「シン・二刀流」として、新たな才能を開花する可能性は高い。受け入れ側も、教育・働き方・コミュニケーション等のあり方について、彼らの「新感覚」に学ぶこともあるだろう。
(株式会社産労総合研究所 「新社会人の採用・育成研究会」2022.03.28 発表)
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