人材育成コラム

リレーコラム

2023/05/22 (第158回)

チャットGPT

株式会社教育エンジニアリング研究所 代表取締役
一般社団法人IT人材育成協会 理事

木村 利明

1.チャットGPTを利用するに際しての教育的なメリットとデメリットを教えてください。

【メリット】
 チャットGPTは、様々な分野についての情報を提供することができます。24時間体制で稼働しているため、利用者は自分の都合に合わせて情報を入手することができます。
 また、膨大な量の情報を扱うことができます。そのため、多岐にわたる質問や課題に対応することが可能です。それに、個々の利用者の質問やニーズに対応することができます。そのため、一人ひとりの学習スタイルに合わせた個別の指導が可能です。
【デメリット】
 チャットGPTは、人工知能によって動作するため、情報の正確性が保証されているわけではありません。その点には注意が必要です。
 また、自動応答によって動作するため、個別のアドバイスをすることはできません。そのため、特定の課題や問題についての指導が必要な場合は、教師や専門家の支援が必要となります。対話形式による学習を提供することができますが、それだけでは不十分な場合があります。実践的な演習や実験などの経験を積むことが必要な場合もあります。

 このようにチャットGPTを利用することにはメリットとデメリットがあります。正確な情報を得るためには、情報源を確認することが必要です。また、対話形式による学習だけではなく、実践的な経験が重要であることに留意してください。

2.プログラミング教育において、AIにプログラムを作らせて学生がそれを改善するという授業は可能ですか?

 はい、可能です。現代のAI技術は、自己学習を行うことができるため、自ら問題を解決するアルゴリズムを作り出すことができます。学生たちは、AIに問題を解決するためのアルゴリズムを与えることができ、AIがそのアルゴリズムを使ってプログラムを作成することができます。
 その後、学生たちはAIが作成したプログラムを分析し、改善点を見つけ出し、AIに修正するように指示することができます。このプロセスを通じて、学生たちは自らが考えたアルゴリズムの妥当性を確認し、プログラムの改善について学ぶことができます。
 ただし、AIにプログラムを作成させるためには、適切な教材やツール、そして十分なコンピュータリソースが必要です。また、このような授業は、AIの基本的な原理について学生たちが事前に理解していることが前提となります。

3.AIの作ったプログラムを修正できるスキルを持つ学生ならば、プログラミング教育は必要ないのではないでしょうか?

 AIによって生成されたプログラムを修正できるスキルを持っている学生は、プログラミングに関する一定の理解を持っていることが考えられます。しかし、それだけでプログラミング教育が必要ないとは言えません。
 プログラミング教育は、プログラミング言語の基礎知識やプログラミングの概念を理解することから始まり、コンピュータサイエンスの基本的な概念、アルゴリズム、データ構造などを学ぶことができます。また、プログラミング教育は、プログラムを設計する方法やソフトウェアの開発サイクル、デバッグ方法などを教えることができます。
 さらに、プログラミング教育は、プログラミング以外のスキルや概念にも影響を与えます。例えば、論理的思考力や問題解決能力、クリエイティブなアイデアを形にする力などが身につきます。また、プログラミング教育を受けることで、プログラミングの仕事に就くことはもちろん、様々な分野で役立つスキルを身につけることができます。
 つまり、AIが生成したプログラムを修正することができる学生でも、プログラミング教育が必要な場合があります。プログラミング教育は、プログラミングのスキルだけでなく、様々なスキルを身につけるための教育として、非常に重要な役割を持っています。

4.AIを活用する授業を「学生の考える力が損なわれる」という理由で否定する先生がいますが、どう思われますか?

 AIを活用する授業が学生の考える力を損なうと主張する先生がいることは理解できますが、それは完全な真実ではありません。AIを活用した授業は、学生の考える力を促進することができます。

5.学生が自分自身で考え、問題を解決するためのスキルを養うにはどういう教育が必要でしょうか?

 「問題解決能力の育成」「論理的思考力の育成」「創造力の育成」「自己表現能力の育成」「協働力の育成」といった教育が必要です。

 ……お気づきのように、上記はチャットGPT自体への質問とその回答です。
 回答はとても懇切丁寧です。その分冗長なので文章は少し省略しています。
 また、4.5.の回答は(本コラムのスペースを考えて)詳細を割愛しました。非常に真っ当な回答ですので、是非、ご自身で対話して確かめてみてください。

 先月の本欄(高橋氏執筆)と同じ結論になりますが、これがまさしくDXですし、もはやこういう時代なのですから、従来の教育や人材の育成方法はゼロから考え直さなければいけないと思います。
 「問題解決能力の育成」「論理的思考力の育成」「創造力の育成」「自己表現能力の育成」「協働力の育成」ができる(人間の)教育者が必要なのです。でも、それができる教育者(人材育成者)は現在果たしてどれくらいいらっしゃるのでしょう?
 ……やはり、『育成者の育成』(教育者の教育)が喫緊の課題ではないでしょうか。


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