人材育成コラム
リレーコラム
2025/2/20 (第179回)
共通テストで「情報」が実施されました
ITスキル研究フォーラム 理事
NECソリューションイノベータ株式会社 イノベーションラボラトリ シニアマネージャ
栗藤 高信
大学入試については地域の違いがあまり関係無くなりますが、1月には共通テスト、そこから私立大学の受験、国立大学の2次試験と続きますね。受験真っただ中というご家庭も多いのではないでしょうか。
さて、その大学入試の共通テストについては、今年度から「情報」の教科が始まりました。
大学を卒業して久しいですが、どういう内容が問われているのかが気になりましたので少し調べてみました。
まず、独立行政法人大学入試センターのWebサイトの情報を見てみますと、「令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト問題作成方針」というものがあり、そこには以下のように記載されておりました。
『情報Ⅰ』
○ 日常的な事象や社会的な事象などを情報とその結び付きとして捉え,情報と情報技術を活用した問題の発見・解決に向けて探究する活動の過程,及び情報社会と人との関わりを重視する。問題の作成に当たっては,社会や身近な生活の中の題材,及び受験者にとって既知ではないものも含めた資料等に示された事例や事象について,情報社会と人との関わりや情報の科学的な理解を基に考察する力を問う問題などとともに,問題の発見・解決に向けて考察する力を問う問題も含めて検討する。
○ プログラミングに関する問題を出題する際のプログラム表記は,授業で多様なプログラミング言語が利用される可能性があることから,受験者が初見でも理解できる大学入試センター独自のプログラム表記を用いる。
○ 日常的な事象や社会的な事象などを情報とその結び付きとして捉え,情報と情報技術を活用した問題の発見・解決に向けて探究する活動の過程,及び情報社会と人との関わりを重視する。問題の作成に当たっては,社会や身近な生活の中の題材,及び受験者にとって既知ではないものも含めた資料等に示された事例や事象について,情報社会と人との関わりや情報の科学的な理解を基に考察する力を問う問題などとともに,問題の発見・解決に向けて考察する力を問う問題も含めて検討する。
○ プログラミングに関する問題を出題する際のプログラム表記は,授業で多様なプログラミング言語が利用される可能性があることから,受験者が初見でも理解できる大学入試センター独自のプログラム表記を用いる。
(引用元) 独立行政法人 大学入試センター
大学入学共通テスト問題作成方針のP8情報Ⅰについて引用。
https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/shiken_jouhou/r7/
なんだか方針が長いですし、ちょっとわかりにくいなと思いつつも、これを読んで個人的に感じたこととしては次の4点でした。
- 事象を情報と結びつきとしてとらえてもらいたい
- 問題解決だけではなく問題発見にもフォーカスしてもらいたい
- そのうえで、既知ではない物も含めて出題し考察する力を問う
- プログラミングは言語特性を排しているため、仮想言語を読み解く必要がある
では実際にはどういう問題が出たのかについても見てみました。試験問題も大学入試センター公開される予定のようですが、まだ未公開であることと、問題からそのカテゴリなどは判別できないので、大手予備校のWebサイトを参照しました。
以下は河合塾のWebサイトからの引用ですが、大問としては4題の出題でした。
1-1)情報セキュリティ、情報通信ネットワークの仕組みと役割
1-2)情報のデジタル化
1-3)情報システムとそのサービス、データの蓄積と管理
1-4)情報デザインの考え方を活かしたコミュニケーション
2-A)データの収集と管理 、情報システムとそのサービス、問題の発見と解決
2-B)モデル化とシミュレーション
3 )アルゴリズム、変数、配列、条件分岐、反復
4 )データの表現、データの収集と管理、データの分析と評価
1-2)情報のデジタル化
1-3)情報システムとそのサービス、データの蓄積と管理
1-4)情報デザインの考え方を活かしたコミュニケーション
2-A)データの収集と管理 、情報システムとそのサービス、問題の発見と解決
2-B)モデル化とシミュレーション
3 )アルゴリズム、変数、配列、条件分岐、反復
4 )データの表現、データの収集と管理、データの分析と評価
(引用元) 学校法人 河合塾
https://kaisoku.kawai-juku.ac.jp/nyushi/kyotsutest/25/analysis/6110.html
情報セキュリティなど、学生のうちから知っておいてほしい項目はもちろん、データ蓄積や情報デザインなども出題され、プログラミング分野ではアルゴリズムも問われています。これだけ見ると網羅しておくための勉強はなかなか大変そうに見えます。
実際の問題も見てみましたが、レベルは違えども、そこには情報処理技術者試験風(というと言いすぎ?)の問題が並んでいました。取り扱いテーマは最近の物を意識しているなと感じられる内容に見て取れましたし、2問目の「店舗レジのレシートの情報の活用」問題などは個人的に面白いなと感じました。
また、3問目の仮想言語を使ったプログラミングの問題などは、見る人によっては懐かしさを感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。(実際の受験生は面白がったり、懐かしんだりする余裕はないのでしょうが)
ちなみに問題ボリュームとしては30ページ程度。図表も多く解釈に時間がかかりそうです。これを60分で解くのですからスピードも要求されます。
そして実施結果ですが、科目「情報Ⅰ」の初めての実施は28万人近くの方が受験し、平均点は69.26点。満点の方もいらっしゃったとの事です。他の科目の平均点が40点台~60点台であることを考えると、比較的解きやすい出題だったようです。
社会的背景を受けて、情報の科目が試験科目となったわけですが、こういった要求に応えながら学んできた人たちが、早ければ4年後には企業に入社してきます。大学受験という大きな節目の試験に課されることで、学校で継続的に学んできた人たちは、それまでの世代とは何らかの違いを持っているような気がしています。この世代の人たちがそれぞれの働く先でどんな変化をもたらしてくれるのか、今から楽しみに待ちたいと思います。
追伸)ご興味のある方、ぜひ一度問題を解いてみてはいかがでしょうか?
独立行政法人大学入試センター 令和7年度試験
https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/shiken_jouhou/r7/
