人材育成コラム
リレーコラム
2026/1/20 (第190回)
GPAってご存じですか?
ITスキル研究フォーラム 理事
NECソリューションイノベータ株式会社 イノベーションラボラトリ ディレクター
栗藤 高信
寒い日が続きますね。体調など崩されていないでしょうか。私は年末に家族から風邪をもらってしまい、年末年始は何もできず過ぎてしまいました。現在も様々な感染症も流行っているようですので、感染対策をしながら乗り切りたいと思います。
さて、このiSRF通信のコラムは理事が順番に担当しているのですが、昨年度自分が何を書いたか見てみたところ、大学入試に関する内容でした。大学のことといえば、最近もう一つ「GPA」というものも調べる機会がありましたので、今回はそれを共有したいと思います。
■ GPAとは何か
GPA(Grade Point Average)とは、大学などで履修した科目の成績を数値化し、単位数で重み付けした平均値のことです。成績を一定の「段階」に置き換えて点数(Grade Point: GP)を与え、各科目の GP × 単位数を合計し、総単位数で割って算出します。もともと米国で広く用いられてきた指標ですが、日本でも2000年代以降急速に導入が進み、2020年度には大学の約98%で導入されているとのことです。私は全く知らなかったのですが、普及以前に大学を卒業していると、あまりなじみのないものかもしれません。■ GPA導入の目的
GPAの活用シーンですが、下記の4点が主だったところのようです。
①学習成果の可視化や厳格化
大学はシラバスや評価基準の明示と合わせて、GPAにより成績の客観性と透明性を高めることができる。
②履修指導や学習支援
学生が自身の学修状況を客観的に把握でき、教員は学生にきめ細かな履修指導を行える。
③奨学金や進学・留学における選考
学内奨学金の選考や大学院進学・留学の基準として参照できる。
④国際的な場面への適用
海外大学や企業に提出する成績の比較可能性が向上する。
大学はシラバスや評価基準の明示と合わせて、GPAにより成績の客観性と透明性を高めることができる。
②履修指導や学習支援
学生が自身の学修状況を客観的に把握でき、教員は学生にきめ細かな履修指導を行える。
③奨学金や進学・留学における選考
学内奨学金の選考や大学院進学・留学の基準として参照できる。
④国際的な場面への適用
海外大学や企業に提出する成績の比較可能性が向上する。
■ GPAの計算方法
基本式は次の通りです。
GPA = (各科目のGP × 単位数)の総和 ÷(対象科目の単位数)の総和
例えば、3科目履修で考えてみます。
科目1(単位数2)GP:A
科目2(単位数2)GP:B
科目3(単位数1)GP:C
GP:A=3.0、B=2.0、C=1.0、F=0.0の4.0スケールだとすると、科目2(単位数2)GP:B
科目3(単位数1)GP:C
A(3.0)×2単位=6
B(2.0)×2単位=4
C(1.0)×1単位=1
合計GP=11、総単位数=5 → GPA=11/5=2.2。
といった計算結果となります。B(2.0)×2単位=4
C(1.0)×1単位=1
合計GP=11、総単位数=5 → GPA=11/5=2.2。
ちなみに、不合格(F)を分母に含めるか、P/F(pass or fail)科目をどう扱うか、再履修時の記録方法などは大学によって異なり、PはGPA対象外とする運用もあるそうです。
■ 日本の大学における評価段階の違い
日本の大学では、GPAの計算に用いる評価段階(スケール)が大学ごとに異なるようです。例えば、ある大学では「S、A、B、C、F」の5段階評価を採用し、S=4.0、A=3.0、B=2.0、C=1.0、F=0.0としています。一方、別の大学では「A+、A、B、C、D、F」の6段階評価を採用し、A+を4.3、Aを4.0とするなど、より細かい区分を設けています。GPの値も大学ごとに異なります。このように、日本国内でも評価段階やGPの設定には差があり、同じ「A」でも大学によって数値が異なる場合があります。■ 就職や進学での扱い
国内の企業では、GPAよりも学部・学科や研究内容を重視する傾向があるように見えます。ただし、外資系企業やグローバル企業、大学院進学や交換留学では、GPAが選考基準に含まれることがあるようです。特に海外との比較では、大学が発行する英文成績証明書に評価基準や換算表を添付することで、異なるスケール間の整合性を確保しています。■ 注意が必要そうな点
調べているうちに、「これは誤解が生まれそう」と感じたのは次の点です。- 「満点は必ず4.0」ではない:満点や評価の扱いは大学により異なるのが現状。
- 「不合格はGPAに含まれない」わけではない:Fは分母に含まれるようです(P/F科目は対象外が一般的のよう)。
- 再履修の扱い:過去のFを記録として残しつつ、新しい成績を加える大学もあり、累積GPAに両方が反映される場合もある。
再履修すれば成績は上書きさえるかと思いましたが、そうではない学校もあるようです。学生にとっては厳しいですね。
いかがでしたでしょうか?
優、良、可、不可の成績表をもらっていた立場からすると、「ずいぶん素っ気ない制度に変わってしまったな」と感じたのですが、学生からすれば成績の透明性が上がるわけですから、良い方向に制度に変わったということになるのかもしれません。ただ、評価段階やGPの設定が大学ごとに異なる点は以前と変わっていないわけですので、評価を利用する側からすれば、あまり変化はないようにも見えます。
学校での成績を一つのスコアで表せることは分かりやすくなる半面、計算方法を考えれば、母数を絞る方向に影響が出てしまいそうで、広く学ぶことを念頭に置くと、抑制的に働きかねない面も持っているといえます。
せっかく大学で学習するのであれば、多様にいろいろ学んでほしい気もしますが、その評価が活用されることを考えれば、分かりやすく納得感のある評価制度であることも求められます。この辺りバランスが非常に難しいものだと思いますが、学生からすれば、その評価が適正に活用されたほうがうれしいでしょうから、当事者たる学生の皆さんの納得感がありつつも利用する際には利便性の高い評価制度になっていってほしいと思います。
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