人材育成コラム
リレーコラム
2013/04/18 (第38回)
三つの間がなくなったと言われる現代
ITスキル研究フォーラム 理事
NECソフト 技術統括部 エグゼクティブエキスパート
福嶋 義弘
先日、「子供笑顔元気プロジェクト」代表の新田新一郎氏の講演を聞く機会があった。新田氏は仙台市を中心に人権、子育て、地域活性化などのイベント主催、講演活動を行っている人である。
「明けない夜はない」
これは、新田新一郎さんと絵本作家の荒井良二さん、さらに東北の子供たちとのコラボによりできた復興支援のメッセージソングである。絵本、そして被災地の子供の笑顔を取り戻すためのスマイルミュージカルを実施している。プロの劇団員と被災地の小学校を訪れ、わずか3日間の練習で、4日目にはミュージカルを実施している。笑顔を忘れていた子供達に笑顔を取り戻し、自信と希望を与える活動である。講演の中で、「三つの間が無くなっている」という言葉が印象に残った。ハイテクの発達により、“人間同士の間”が無くなったと訴えている。三つの間とは「空間」「時間」「仲間」である。
原因はいろいろあると思う。その一つに、携帯電話やスマートフォン、インターネットにより、いつでもどこでも誰とでも連絡が取れるようになったことが考えられる。便利の半面、何時も緊張感を持ち、誰かとのコンタクトを行い、仲間外れになることを嫌う人間が増加した。
最近、小生は電車内で何人が携帯電話やスマートフォンをいじっているか数えることがある。インターネット、メール、ゲーム…。何をしているかはそれぞれである。しかし、何故、今、この場でやらなければならないのか。いつも疑問に思う。
子供の嫌がる言葉は「あいつヘンだよね」と言われることだそうである。絶えず群れていたい、はみ出すことを嫌う傾向が現れているとのこと。「さよならができない症候群」である。また、子供達に今やりたいことを聞くと、「寝たい」「遊びたい」の回答が多いとのことである。
これは子供だけに言えることではなく、最近の大人も同じではないか。間とは「あいだ」と読む。何かと何かのあいだ。また、間(ま)に関する言葉には、「間をとる」「間のびする」「間がぬける」「間があく」…などがある。時計で計る時間では無く、感覚的なことであり、それをうまく活用することにより人間同士の信頼感を掴めたり、物事が成功したりすることができるのだ。
一般には、時間は連続し流れるものである。それを切断することにより、物事を上手く進める、新たな展開、変革の起点に活用することが重要なのである。間を嫌う現代だが、スピード社会だからこそ間を大切にしたい。
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