人材育成コラム

リレーコラム

2014/01/21 (第47回)

コミュニティ参加を通じて異職種から学ぶことの重要性

ITスキル研究フォーラム クラウド人材WG 主査
デトロイト トーマツコンサルティグ TMT/E 執行役員パートナー

八子 知礼

 前回執筆されたNTTコミュニケーションズの中山部長からは、クラウドのような新たなナレッジや事例はコミュニティから学ぶのが良いとのことで、弊職が “主催“する「八子クラウド座談会」についてご紹介頂きました。
 今回はその背景と狙い、最近の同コミュニティの扱われ方や、コミュニティによって実現されるクラウドビジネスやアライアンス、それらを通じたスキル醸成 などの可能性についてご紹介します。さらに、各ベンダーがコミュニティに参加したり、コミュニティを新たに形成していくことの重要性について言及したいと 思います。

 弊職は4年前にクラウドの入門書を出版させて頂く機会があり、その本に書ききれなかったことを、特に技術ベースではなく、ビジネスモデルや活用・発展す る際の視点を中心に初心者でも学べるようにしたいと考えていました。そして、Twitterで呼びかけて集まった15人の方で座談会を開催したのが、この コミュニティの始まりでした。
 クラウドはそれ自体が当時は技術を中心に語られることが多く、ビジネス活用する際の狙いやICT業界そのものも大きく変化していくのだという業界の方々 への啓蒙も含めて、できるだけクラウドが解らない方々と、先進事例やソリューションを持つベンダーがその差を埋めるような議論をしながら、教えて貰いなが ら場が進んでいくのが望ましいと考えて様々な工夫をしてきました。

 前半はクラウドベンダーからのプレゼンによる“インプット”の時間。中盤は登壇したベンダー対会場の聴衆とのパネルディスカッションによる“インタラク ション”の時間。後半は聴衆が課題感や不明点、ベンダーへの期待などをグループで討議する“アウトプット”の時間。こうして土曜の午後、5時間以上にもわ たり、ユルめの運営ではありつつも、密度の濃い議論が繰り返される場を作り上げてきたのです。
 その場での狙いは、3つあります。まずはクラウドの事を知っている人と知らない人の間のギャップを埋める場にしたいこと。次に、クラウドベンダーやユー ザーがアピールする場にしたいこと。最後にこの場から新たなビジネスモデルを考えたり、アライアンスを生み出せる梁山泊のような場所、すなわち“プラット フォーム”にしたいという3つです。

 当初15人で始まった会も4年近くたって合計15回の開催を数え、既に累積参加者は700人を超えるまでとなりました。最近では毎回コンスタントに55 人が参加する会となっています。東京では12回の開催を数えており、毎回ベンダーの会議室を拝借して集まるのが恒例となっています。
 また、昨年から大阪と仙台でも開催を始めました。大阪ではeBASE株式会社の窪田取締役と前回執筆者のNTTコミュニケーションズ中山部長に幹事役を 担って頂き、既に2回開催しています。この2月には仙台でも第2回を開催する予定であると共に、福岡での開催希望が打診されるまでになっています。

 ここまでの規模になってくると、当方もそこまでとは考えていなかったものの、「クラウドを売るなら一度は八子クラウドへ」という話もちらほら聞こえるよう になってきました。既に自分だけで運営しているわけでなく、10人近い幹事グループでの共同運営の形をとっているものの、当初の狙い通り、業界のプラット フォームとして、プロモーションや課題を埋める場としての役割を果たすことができてきたのかも知れないと嬉しく思っています。
 さらに、この一年ほどで、この会の中で知り合い議論を重ねたメンバーが実際のビジネスで取引に繋がったり、アライアンスに至ったりするケースが飛躍的に 増えてきています。これも当初の狙い通りで、「迷惑でないかぎりにおいては営業して貰っても結構です」と言ってきたことが、コミュニティの中でそれぞれの メンバーが果たす信頼感と共にそれぞれのメンバーのビジネスに繋がっているわけです。

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