人材育成コラム

リレーコラム

2014/11/17 (第57回)

iコンピテンシ・ディクショナリを活用した人材育成の勧め

ITスキル研究フォーラム 理事
アイテック 顧問

福嶋 義弘

 2002年12月にITSS(ITスキル標準)が公開され12年が過ぎる。その後、UISS(情報システムユーザースキル標準)、ETSS(組込みスキル標準)が次々公開された。IT人材白書2014によれば44%のIT関連企業が人材育成制度、人事制度、調達制度などに導入している。しかし、各スキル標準の構造の違いにより柔軟に組み合わせることができないなどの課題があった。

 その後2008年に3つの標準を人材類型で整理・体系化したCCSF(共通キャリア・スキルフレームワーク)第一版、さらに2012年3月にタスク、スキル軸で整理・体系化した第一版・追補版が発表された。今回2014年7月公開されたiコンピテンシ・ディクショナリはこのCCSF第一版・追補版をさらに拡充進化させたものである。

 iコンピテンシ・ディクショナリは、「タスクディクショナリ」と「スキルディクショナリ」の2大要素で構成されている。
 「タスクディクショナリ」は企業や組織が経営戦略や事業計画を基に必要となるあるべき役割を明確にするため参照するタスク群である。戦略・企画・開発・利活用の各ライフサイクルで必要となるタスクを網羅する。
 「スキルディクショナリ」はITに関連する主要知識体系、スキル標準、情報処理技術者試験のシラバスより業務の遂行に必要なスキル・知識項目を集約し一覧化したものである。

 iコンピテンシ・ディクショナリは、仕事やスキルを構造的に表現しているため、新たに発生するIT業務や技術にも柔軟に対応可能であり、企業や組織の人材育成戦略にあった活用推進ができる。
 来年には今回公開したディクショナリをブラシュアップしたバージョンとそれを活用するシステム公開が予定されている。今後の展開に期待したい。

 iコンピテンシ・ディクショナリの詳細内容や活用についてはIPA(独立行政法人情報処理推進機構)のWebサイト
https://www.ipa.go.jp/jinzai/hrd/i_competency_dictionary/index.html
を参照ください。


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