人材育成コラム
リレーコラム
2015/07/17 (第64回)
iコンピテンシディクショナリ2015が公開!
ITスキル研究フォーラム 理事
アイテック 顧問
福嶋 義弘
IPA(情報処理推進機構)が、2014年7月31日に「iコンピテンシディクショナリ(iCD)試用版」を公開して1年になる。パブリックコメント、関連団体の意見の反映、情報セキュリティ、ITを活用した新たなビジネス創出するIT融合人材のタスク・スキルを加えた正式版となる「iコンピテンシディクショナリ2015」(以下 iCD)が6月30日に公開された。
iCDは、企業においてITを利活用するビジネスに求められる業務(タスク)と、それを支えるIT人材の能力やスキルを「タスクディクショナリ」、「スキルディクショナリ」として体系化したもので企業の経営戦略などの目的に応じた人材育成に利用できる(IPAの「iコンピテンシディクショナリ概要より」)。
今回の公開で注目されるのは、iCD利用者の利便性向上を目的に「iコンピテンシディクショナリ活用システム」を新たに公開したことである。かつてITSSなどスキル標準の活用において活用システムを自前で構築できる中堅や大手は普及したのに対し、中小企業では社内で活用する仕組みが構築できず、普及が進まなかった。こうした経緯もあり、iCD活用システムの公開は中小企業にとって朗報である。
活用システムはASPで提供され、企業や組織などがIT人材の育成を検討する際、企業戦略や事業計画に基づき、必要なタスクをタスク一覧から取捨選択することにより、組織機能や人材の役割を定義するためのタスクを独自に策定することができる。また、自社独自のタスクを追加や修正するなどカスタマイズができる。
このシステムではIT技術者のタスクレベルを自己診断でき、自動集計することにより自組織のタスクレベルの状況把握や育成のPDCAに活用できる。自タスク策定のためにタスク一覧からタスクを取捨選択する際には、タスクの理解を助けるための参考情報としてタスクプロフィールを参照できる。また、ビジネス環境の変化などにより新たな人材の役割が必要となるため、関連団体でもタスクやスキルの追加を検討しており成果は順次公開される予定である。
今後の期待としては、タスクレベルの向上、IT技術者や学生のスキルアップを支援する育成の仕組みの拡充、教育ベンダーや教育機関などとの連携による教育紹介サイトの構築である。
IPAでは9月15日(火)に「価値創造で新たなステージへ」~未来をデザインする i コンピテンシ ディクショナリ ~ セミナー開催を予定している。iCDやセミナー申し込みについての詳細はIPAのサイトより確認してほしい。
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