人材育成コラム
リレーコラム
2016/07/19 (第76回)
新たな企業変革で共創する場、C3カンファレンスを開催
ITスキル研究フォーラム 理事
アイテック 顧問
福嶋 義弘
小生は実行委員会の責任者であった。初日はビジネスモデル・ジェネレーション翻訳者のビジネスモデルイノベーション協会 代表理事の小山龍介氏より「共創の場を生み出すためのビジネスモデル思考」、2日目はシステムデザインやイノベーションの研究で著名な慶応義塾大学大学院の白坂成功准教授から「変革のためのイノベーティブ思考アプローチ」の基調講演、そして20名の講演者によるセッションプレゼンテーション、最後にファシリテーション協会のファシリテータによるワールドカフェ形式のテーマを「あなたは何を変えたいか」などの統括セッションが実施され2日間をまとめた。その他会場には講演者、参加者の出会いと交流を促進する取り組みによるオープンジャムや変革ツールの展示スペース、基調講演をビジュアルレコーデンクするなど盛り沢山の内容となった。
手作り、手弁当のカンファレンスであり反省も多かったが、アンケートなどで高評価を得ることができ、イベントは成功と判断できる。小生もいくつかのセッションに参加した。いくつか心に残った内容があったが一点披露する。小山氏の基調講演より「<いのち>の与贈循環」場の研究所・清水博所長の提示するモデルで贈与が<場>を豊かにし、豊かになった<場>から贈与が返ってくる。例えば、裸地から苔・地衣類が生え、草本植物が生え低木林になり、やがて陽樹林が生え陰樹林になり生物が暮らすようになる。長い年月の中で命(栄養)、水、土、環境の変化の贈与が繰り返され場は豊かになっていくわけである。我々で考えると、個人として結果を出したり貢献したりすることで場(組織、会社、社会……)を豊かにし、豊かになった場から返礼をもらい、これを繰り返すことで場がより一層成長するわけである。この与贈循環にはWin-Winのマインドが必要であると感じた。
この講演で再確認させられたこととしてマルチサイドプラットフォームビジネスの推進である。現在IoT推進やイノベーション向上などと業界で騒がれているが、それも場の活用である。
まさにマルチサイドプラットフォームビジネスである。例にあがったのがAppleのiTunes戦略である。iTunesを場とするプラットフォームを提供し異なる企業が活発にビジネス展開を行い。AppleはiTunesを無償で提供し場が活性化することにより、端末を売ってビジネスを確立したのである。
マルチサイドプラットフォームビジネスは下記のような効果がある。
- 複数のまったく異なる顧客セグメントをつないで、交流を促進することで価値が生まれる
- 顧客を獲得すればするほど相互に価値が高まるネットワーク効果がある
- 1社では実現できない規模の経済が働いている
今回のカンファレンスも場の提供を中心にその中から共創によりchangeが生まれることを目的にした。我々の不手際もあり、なかなか認知されなくて集客ができなかったが、次年度も継続する方向で考えている。来年はぜひ共創の場に参加されることをお勧めする。きっとITの世界から離れ新たな発見、学びがあると確信している。
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