人材育成コラム

リレーコラム

2016/11/18 (第79回)

今後、IT技術者に必要となるスキルは何か?

ITスキル研究フォーラム 理事
株式会社アイテック 顧問

福嶋 義弘

 上流/下流シフトが進むと伝えられるなか、IoT、クラウド、ビックデータ、情報セキュリティ、イノベーション、AIが重要なキーワードになっている。IT技術者はどうなるのだろうか。今後必要とされるスキルとは?

 IT人材白書2016では、IT技術者共通で「顧客分析力、企画力」、組み込み技術は「アプリケーション技術」、データ活用人材は「データ解析」、ネットワーク技術者は「ネットワーク技術、情報セキュリティ」を重要視していると調査結果が出ている。これは当然であり、各個人が担当する職種で必要とされる技術であり、当たり前の結果と判断される。

 しかし、将来またはこれからの技術と考えるとどうであろう。先のことはわからないが、今注目を浴びていることで考えると例えばIoTである。IoT人材には「センサー技術」「データ解析・データ活用技術」「ビジネスアイディア構想力」や「事業全体の技術を俯瞰し、全体を設計する能力(ビジネスデザイン)」が重視されるとしている。

 一昨年、一般社団法人 情報サービス産業協会のある委員会での活動で上流/下流シフトが進行するだろうと予測し、「今後重要となる役割」を検討した。その結果は上流ではビジネスアナリスト、データサイエンティスト、テストアナリスト。下流ではALM(アプリケーション・ライフサイクル・マネジメント)コンサルタントが今後重要となる役割になるとのことであった。新規であれ既存で あれスキルとして「ビジネスアナリシス」、「データ解析、データ活用術」、「コンサル技術、ビジネスデザイン力」、「テスト設計、分析、評価」が今後重要とされるのではないだろうか。いずれにしても新技術がない中、ビジネススキルやヒューマンスキル、分析/解析などのメソドロジのスキルを習得する必要がありそうである。

 ソリューション、イノベーションやプロジェクト成功の鍵となるBA(ビジネスアナリシス)については過去にも紹介したが再度紹介する。小生がBAに携わったきっかけは、不十分な要求定義により発生する失敗プロジェクト撲滅を推進するため、有効な知識体系を探していた矢先にBAを知ったことである。

 BA/BABOKは組織の構造とポリシーおよび業務運用についての理解を深め、組織の目的の達成に役立つソリューションを推進するために、ステークホルダー間の橋渡しとなるタスクとテクニックをまとめたものである。それを体系的にまとめたのがBABOKである。

 最新は昨年4月に公開されたBABOK v3である。V2はプロジェクトの成功を中心に知識体系が構築されたのに比べ、v3では個別のITシステムの改善のプラクティスからエンタープライズ全体のトータルソリューションを目的に企業を変革(Change)する「ストラテジーアナリシス」などを追加し、改善・強化した。また、ソリューションによって実現された実際のビジネス価値を測定し、確認する「ソリューション評価」など、V2よりも対応範囲を拡大し、実践的に改版した。企業の生産革新、組織変革、プロセス変革を含め、企業変革するスキルを体系的に表している。本文では詳細を伝えることはできないが、BA/BABOKに興味があればURL(http://iiba-japan.org/)を参考にしてスキル向上に繋げてほしい。

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