人材育成コラム

リレーコラム

2017/07/19 (第86回)

iCD2017(最新版)、IPAより公開された!

ITスキル研究フォーラム 理事
株式会社アイテック 顧問

福嶋 義弘

 iCD(i コンピテンシ ディクショナリ)2017がIPA(独立行政法人 情報処理推進機構)より6月20日に公開された。
 iCDは、企業においてITを利活用するビジネスに求められる業務(タスク)と、それを支えるIT人材の能力やスキルを「タスクディクショナリ」「スキルディクショナリ」として体系化したもので、企業の経営戦略などの目的に応じた人材育成に利用できる。(IPAの「i コンピテンシ ディクショナリ概要より」)

 本コラムでは、IT技術者個人のスキルアップに効果のあるiCD2017の最新状況について説明する。

 まずはiCDの概要について説明する。前述したとおり、iCDは「タスクディクショナリ」と「スキルディクショナリ」より構成されている。「タスクディクショナリ」は、IT関連企業の中期計画や事業計画から、企業および組織が目標達成のために必要となる有効なタスクを明確にし、IT技術者の育成や戦略策定に活用するという用途がある。

 また、「スキルディクショナリ」はIT技術者や学生の成長のため、利用することを想定している。iCD2016より教育機関と連携し、タスクやスキル向上のための教育メニューと結びつける使い方が始まっている。そのため「スキルディクショナリ」は、スキルに着目した育成活動を進めることができるように、スキルディクショナリ単独でも利活用できる構造になっている。情報処理技術者試験をはじめとする各種資格・認定試験、および学校関係や教育事業者のカリキュラムと結びつけた利用を想定している。
 「スキルディクショナリ」は、スキル標準、情報処理技術者試験の知識項目例や主要知識体系を参照元とし、IT 関連業務の遂行に必要なスキル・知識項目を集約し一覧化している。

 IPAは、iCD利用者の利便性を高めることを目的に、iCDをウェブ上で利用可能な「i コンピテンシ ディクショナリ活用システム」を新たに構築し、提供を開始している(無料)。
 本システムの活用を通じて、人材育成戦略の立案(Plan)、育成施策の実行(Do)、自組織のリソース状況の把握(Check)、目標の再設定(Act)といった組織における人材育成のPDCAサイクルを回す活動の一助となることが期待される。
 iCD2017が、iCD2016から改定された内容の概略を次に示す。
■「タスク/スキルディクショナリ」の改訂
  • UIデザイン、コールセンター、IoTシステムサービスのライフサイクル、事業継続マネジメントのタスク/スキルディクショナリ追加と強化。
  • 政府が進める「第4次産業革命に対応したスキル標準検討」の一環で、専門分野のさらなる具体化で公開された「ITSS+(プラス)」(2017年4月公開)のセキュリティ領域とデータサイエンス領域のタスク/スキルディクショナリ追加。

■研修検索機能強化
  • iCD2016より公開された研修検索機能をより使いやすく機能強化を図った。

■活用システムのダウンロード版公開
  • iCDはASP運用を基本に運用しているが、自社運用を希望する企業向けに「iCD活用システム」を無料でダウンロード可能にした。

 本コラムだけでは理解しにくい部分があったと思うが、iCDについての詳細や利活用については、「iCDオフィシャルサイト」をぜひ参照していただきたい。

 » iCDオフィシャルサイト

 このオフィシャルサイトではiCDの導入企業の認定制度、事例紹介、導入方法などについても掲載されており、人材育成に日頃苦労している企業の方やスキル向上を目指すIT技術者や学生の方などの参考になると考えている。



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