新たな課題に直面し、「ITSS-DS」をトライアル
そんな時、人事部よりITSSを検討中との話しがあり調査に参加することになった。はじめて「ITSS-DS」の存在を知ったのもこれがきっかけだ。すでに導入していたグループ企業に、活用方法や課題を徹底的にヒアリングした。自社にはどんな技術が必要なのかといった具体的調査により、自社の強み・弱みが見える化できること、比較的簡単に自社に合うようカスタマイズを行なえることなどがわかった。とはいえ、診断結果に本当に信憑性があるのか、疑心暗鬼だった。そこで、様子を見るために第一回目の診断(2006年10月)はトライアルという形で受診したという。
継続的実施で常に現状のスキルレベルを把握
実際に市場における社員の年齢別職種の平均など細かいスキルレベルが把握でき、社員個々の技術的な強み・弱みも明確になったことから、「ITSS-DS」の診断は有効と判断。と同時に、実施中の施策の浸透状況や自社が必要とする人材の分布を具体化するためにも、「ITSS-DS」の利用目的とその活用方法を明確化し、またそのための仕組みづくりを行うことが必要と再認識したという。
まず会社側が求める人材像をより具体化した。その上で社員個人個人が、自分の職種や専門分野を鑑みて的確な将来像を描けるように、スキルレベルごとにクリアしていかなければならない研修科目を自社の研修ロードマップに盛り込み、体系化した。
利用目的は、診断結果レポートを使用して上司と育成目標や研修コースといった情報を共有すること。全社、事業部、部門の傾向を把握し、的確な打ち手を打つための基礎データとすること。また、入社年数別やグレード別などの切り口で分析、どのレベルで停滞しているのかを明らかにすることなどだ。
クオリカでは、人事部が中心となり、しっかりした仕組みが構築されているという。
そして、第二回目(2008年7月)の診断では、スキルレベルのより細かいデータを表面化させるために、「開発基本動作」「PJ計画」「進捗管理」「課題管理」「変更管理」「品質管理」「終了時のPJ評価」について、計41問の独自の設問を新たに設定して診断した。
「結果、なんとなく問題と感じていたPM・PL人材の状況が明確に確認出来た。さらに、入社年別やグレード別に分析出来たことで、どの様な社員がどの様なレベルで停滞しているのかがはっきりしたことが有益だった」とした上で「全社的に技術力の底上げが必要だと改めて再認識するとともに、だからこそ、どの施策のどこにテコ入れをするべきか、その打ち手が見えてきた」と山崎氏。
今後は、PMや次期PLの育成とともに、若手を確実に育てるために、より充実した研修ロードマップやキャリアパスの整備と確実な運用が必要不可欠だという。
「『ITSS-DS』は継続的な実施が肝心。状況が見えてこなければ確実な打ち手が打てないし、新しい課題も発見できない。課題の発見・解決といった積み重ねが社員個々のスキルアップ、ひいては会社のブランド力につながる」と山崎氏。「ITSS-DS」に大きな期待を寄せているようだ。
Company Profile
クオリカ株式会社
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品質保証・開発基準(プロセス改善)・技術教育の企画・立案・推進などが主な業務 |
※記載内容は記事掲載当時のものです